×白雪姫

□第12章
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「白雪……」

『…………』

「ずっと、ずっと、
この席で、お前を待ってた。

この剣で、お前の心臓をえぐり、
この箱におさめる日を……」

『………』





高く、長い階段の先の玉座にいるは、
私の知る母親ではなかった。



いつも整えられていた髪は乱れ、
若さの残った肌は荒れ、

目は赤く充血し、
隈まで出来ていた。



食事も摂らず、寝てないのだろう、頬も痩け、
階段を一段ずつ降りてくる度にチラリと見える足首が それを物語っていた。



コツッコツッっと、
階段を一段ずつ降り、
徐々に私の前にやってくる。



手には金の装飾で飾られた
剣が握られていた。





『母さ…』

「その目で、私を見るな!!
私を母と呼ぶな!汚らわしい!!」

『……』

「…っお前はお前を捨てた父親そっくりだな!
その目も、その髪の色も!
その性格も何処までも似ている!」

『……捨て、…た?』

「そうだ、お前が産まれて暫くし、奴は消えた。
お前の父親は、お前を育てることをせずにな。」

『………だけど、私は、
顔も覚えてない…から、
捨てられたって…実感ない。』

「……それだけか?違うであろう?
仮に父親に捨てられてたとしても、目の前には母親がいる。
捨てられた訳ではない。
そう思ってるのだろう?」

『………』

「沈黙は肯定とみなす。」

『……でも、今は関係ない筈だ。
私を殺すなら、もうどうでもいい話だ。』

「……足掻かないのか?」

『死ぬ気でここに戻ってきた。』

「つまらん。
泣き叫び、悲痛に歪み足掻く顔を見たかったのに。」

『………』

「まぁ、良い。
材料はある。」

『……?』

「お前をただで殺すと思なよ?
お前を捜す為に、まず国民を全員殺した。」

『!?』

「もし、国の誰かがお前をかくまっているとしたら、いちいち、捜すのが手間がかかる。
まぁ、お前は容姿は最悪だからな、皆に好かれている筈はなかったが、念には念を…。
そうだな。その後は……」



母様がスッと剣を持っていない手を上げる。

すると、入ってきた以外の扉から、たくさんの兵士が入ってきた。

身につけている銀の防具、そこに彫られている紋章は、この国のものだ。



「押さえ付けよ。」



母様の指示にしたがって、私の近くにいた兵士2人が乱暴に片腕ずつとり抑えた。





「抵抗せずか…。
まぁ、その平常心を保って居られるのはいつまでだろうな。」

『……?』

「アレを持ってこい。」
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