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□想い
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知らない内に追っていたいたのは…何処でも輝く銀色の髪。
想い。
最近の俺はおかしい。
何時、何処に、何をしていても考えるのは…銀髪の野郎の事ばかり。
お蔭で仕事では、失敗ばかり起こすようになって近藤さんからは…
『きっと、疲れてるんだろう?休みやるからゆっくり休め!』
と、言われて今に至る。
だけど…考えたって…。
何も答えは出てこない。
だんだん苛ついてきて、気分転換に俺は外へ出掛けることにした。
…出掛けてみたは良いが。
別にやることも無く、ただブラブラと歩くしか無かった。
だが、
雑踏に紛れてる分、あまり深く物事を考え過ぎずに済むから部屋に居るよりかは良かった。
そうして歩いている内に…パチンコ屋の前を通り過ぎようとしたとき…。
目の前に、俺の悩みの元凶である銀髪が飛び出して来た。
俺は動く事も出来ないで、固まっていたらあっちが振り向いて俺の方を見てきた。
『あっ、大串君じゃん。何してんの?こんなとこで?』
そう言いながら、
見て、見て。俺、今日大勝ちしたんだよねと、嬉しそうに腕一杯に広がるお菓子を見せ付けてくるが…俺の目線はそんなもんより野郎に釘付けだった。
服の間から見える白い肌や、フワリと軟らかそうな銀色の髪、漂ってくる甘い香り。挙げていけばキリが無いのだが…。
極めつけは…嬉しそうに蕩けた笑顔で笑う締まりのない顔。
自分でも判る。
顔が赤くなっていくのが。
片手で赤くなった顔を隠して、横に視線を向け考える。
本当はとっくに気付いてた。
だけど、普通じゃないとその考えから逃げていたが…
銀髪を見て鼓動を速くしてる自分が居る、
笑顔を見て全身が熱くなってる自分が居る、
これじゃあ、本当に野郎に恋してる見てじゃねぇか…。
そう思ったら、心が軽くなった。
そして、次の瞬間からの俺の動きは早かった。
黙りこくった俺を心配そうに見つめる奴の手を強引に引っ張って、パチンコ屋の少し奥にある路地裏へと連れ込んで壁に押さえつけ頭の横に手をかけて、逃げ道を塞いでやる。
バラバラとやつの腕から落ちていく、お菓子を無視して目線を合わせた。
『…ッ!何すんだよ!?お菓子落ちちまったじ…っん!?』
って言ってきたから、途中で野郎の口を塞いでやった。