『好き?嫌い?プリン(セ)ス』

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謙也「桃城の手首を一撃で粉砕…瞬殺やでぇ」


越前「桃先輩…」


「桃…」



ズキンッと右肘の古傷が痛んだ。


止めないと…これ以上は、桃が…。


そうは思っても、金縛りにあったように、体がピクリとも動かなかった。



桃城「まだまだ暴れ足んないッスよね」



桃がラケットを口にくわえて持ち上げ、肘と脇でラケットを固定する。



桃城「……どこ行くんすか?試合はまだ終わっちゃいねぇ」



しっかりと両足で立ち、背を向けた鬼さんを睨み付けた。



神尾「も、桃城っ!?」


高校生「アイツまたやるつもりだ!?」


鬼「馬鹿が…」



鬼さんがゆっくりとコートに戻り、試合は再開された。


桃の…桃の馬鹿野郎!


無理しないでって言ったのに…。



…でも、止められない。


あんなに頑張って戦ってる桃を止めることなんて出来ない。


桃の気持ちが痛いほど、私にも分かるから。



桃は、口でボールをくわえ、トスを上げ、器用に肘と脇で挟んだラケットで打つ。


見ているこちらが、辛くなってくるぐらいだった。



大石「篠月さん!やめさせてください、この試合!」


鳳「そうですよ!こんなのもう…試合じゃないです!」


「…無理だよ」


大石「ど、どうしt」


「桃の目が死んでないから」


大石&鳳「え?」


「目が死んでないんだもん。桃はまだ戦ってる。自分のためだけじゃなく、中学生全員のために」


中学生達「……」


「私だって…今すぐにでも止めに入りたい。だけど、それじゃあ、駄目なんだよ!駄目なの!…分かるから、桃の気持ち」


手塚「……」



私は、ギュッと手のひらに爪が食い込むほど強く、拳を握った。



桃…頑張って。


だけど、無茶だけはしないで。


私みたいには、絶対ならないで…っ!





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