長編

□あちらとこちらの連理共鳴2
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【仁王サイド】





歯磨きが終わり、みんなで車に乗り込むが、菓子の匂いが充満しとる。

丸井のせいじゃが、これは丸井に菓子を与える静芭姉と呉芭姉にも原因があるのぅ。

静芭姉と呉芭姉は簡単に化粧をしとるが、ナチュラルで素っぴんと大して変わらん。

「シートベルト全員付けたね」

青いシュシュで髪を纏めた静芭姉が、車のエンジンを掛ける。

車は山道を走り抜け、大きな通りに出る。

音楽はない。

代わりにラジオのニュースが流れてとる。

「トイレとか、酔ったとか、何かあったら言ってね〜」

呉芭姉が携帯を弄りながら言う。

昨日、二股だの言っていたから、もしかしたら彼氏とかもしれん。

町並みを眺めていれば、知らないながらも俺たちがいた場所と、変わらん。

何故家や立海がないのか、とてつもなく不思議な程に。

とは言え、念のため持ってきた携帯は、相変わらず圏外。

呉芭姉が使ってるんじゃき、圏外と言う事はない筈じゃかのぅ…。

同じ事を思ったらしく、ジャッカルも携帯を弄りながらため息を付いとった。

起きた時は全て夢だったら、と、初日の夜は思った。

今も思わんでもないが、初日よりも遥かに気は楽じゃ。

ここにいたメンバー全員がそうじゃろうがな。

大袈裟ではなく、呉芭姉と静芭姉がいなければ死んどったかもしれんし。

人間、飯を食わんと死ぬ。

海に行くまで、散々言い争いもした。
普段喧嘩なぞ余りしない柳と真田が怒鳴りあう位にのぅ。

運転席を見れば、長い指でハンドルを操作する静芭姉と、相変わらず携帯を見とる呉芭姉。

二人が拾ってくれた事に、本気で感謝じゃ。
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