長編

□覚醒2
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「お馬鹿さん」

本当は殴らせても良かったが、兄さんの視線が怖かったりする。

「決着は、テニスで。ね?私も試合かるし、怪我したくないし」

言って相手から離れる。

睨まれたから、睨み返した方がいいだろう。

殺気付きで。

「っ!?」

怯む相手だが、私は兄さんの咎める視線に怯んでしまった。

「良かったね、私が武術経験者で。でなければ、そっちは試合どころではないよ?」

言って、相手を解放する。

更に私にボールが飛んで来たが、それも素手で受け止めた。

ぬるいボールだから出来た。

これがレギュラーだったら、無理だろうけど。

また適当に返して、ミーティングがある私は踵を返した。





ミーティングが始まる時間になり、私はしょんぼりしながら集合場所へ向かう。

「どっちかと当たるんだからね」

そう言われて、熊谷第三と御矢本第一の試合観戦。

「手塚、落ち着いたら?男子は勝つよ?」

「分かってますよ!ただ、兄さんの試合が…」

「あんた、どんだけお兄さん子なんだよ」

そう言うが、アリアもソワソワしてる。

「氷帝男子は5-0勝ち?」

「聞くまでもないしょ」

と言う事は、そうなのか。立海男子も5-0だろう。

「うーん。ダブルス1に双璧入れてよさそうね」

小百合先生の爆弾発言に、私とアリアは思い切り振り返った。

「あ、いいんじゃないですか?私、シングルス2に行きます」

「部長!?私ダブルス苦手ですよ!?」

「ま、いい経験じゃない?」

そんな…。

相方になるアリアをチラリと見れば、眉をしかめていた。

「いいんスか?静芭、神速使いまくって潰れても」

「心配ないわ。手塚、三時間程度なら使える様になったし、神速使うボールと使わなくていいボール分かってるし」

「え!?マジで!?」

「あ、うん。一応」

アリアは頬を少し掻くと、考え込む。

暫くすると、ため息付いて私の肩を叩いた。

「前衛で好き勝手やりな。フォロー出来るならする。日吉君みたいな動きは期待しない。いい?」

「ありがとう。頑張るよ」

オーダーが決まった。

公式試合初のダブルスが、全国大会初戦。

波乱の幕開けだった。
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