多分長編なんだと思う

□紳士と策士(?)の再会談話
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中一の三学期、相原第一から転校。

理由は、親の再婚。

家に居辛くなった私は、家を出た。

義父も母も了承。

と、言うか、寧ろ歓迎した節がある。

友人宅近くで独り暮らし。

「比呂君」

「はい、名無しさんさん」

相変わらず丁寧な言葉を使うヒロに苦笑して、頭を下げた。

「引っ越し、手伝ってくれてありがとね」

「いえ、女性に重たい荷物を持たせる訳にはいきませんから」

私は力持ちになのに、相変わらずの紳士ふり。

幼い頃から変わっていないな。

この辺りは、父と母が離婚する前までいたけど、最近は大分景色が変わったというのにね。

「食材買いに行ってくるからね。引っ越し蕎麦ご馳走するから待ってて」

「私もご一緒しますよ」

そう言うとは思っていたけど、何だか申し訳ないな。

断っても、比呂君は来るだろうし。

うん、代わりに、トッピングは豪華にしよう。

「比呂君」

「はい」

「今日から宜しくお願いします」

並んで歩くと影が伸びる。

昔と違って、長さが均一じゃない。

身長が伸びた比呂君を見て、男の子の景色は違うのかな、なんて思ったりした。





私の父は、厳格と言うより、堅物が服を着てあるいている様な人だった。

お見合い結婚だったらしい父と母だけど、そんなに仲が悪い様には見えなかった。

けど、堅物に愛想をつかして母は家出。

私も来るか聞かれたけど、比呂君や友達と離れたくなくて、そのまま。

で、父は何故か私を厳しく躾てたのに、輪を掛けて厳しくなった。

女の子に、色々叩き込み過ぎだよ。

お陰で怪力娘になった私は、失恋した。

可愛くないって。実際可愛くないけど。

更にショックの余り、母親に泣きついた。

そして、見事離婚が成立してしまったのだ。

そんな若かりし頃を猛省し、私は頭だけは良くなろうと頑張った。

多分、私はそれでひねくれたんだと思う。

幼馴染みが紳士を目指す中、私は淑女を目指す。

結局挫折して策士に落ち着いたけど、そんな事は厨二ぽくて言えない。
 

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