多分長編なんだと思う
□授業と放課後の歴女視線
1ページ/1ページ
「名字名無しさんです。宜しくお願い致します」
頭を下げて、指定された席に向かう。
比呂君とクラスが別れた。
指定された席の左隣の子は、一見女かと見違う程の美人。
左右と前に挨拶をし、新調した教科書を開く。
立海より相原よりレベルが高いけど、比呂君の教科書を借りて頑張ったから大丈夫。…だと思う。
頭が悪くないとは思うし…多分。
私は世界史が苦手だけど、日本史専攻したし、さらりと世界史なぞる様に教わる分には問題はない筈。
教師がお経の様に読む説明を聞き流しつつ、私は晩御飯のメニューを考えた。
立海は、文武両道で部活動は必須。
部活で得意にならざるを得なかった弓道を、仕方なく選択した。
朝練はないが、放課後の部活動は面倒かもしれない。
私は小さく息を吐いて教室に戻れば、左隣の男子が誰かと会話している。
…は、無双の石田三成?
「っ、」
反射的に声を掛けようとしたが、言葉が出なかった。
口調が、三成とは異なるものだったから。
かなり無双の三成ボイス、三国恋戦記の文若ボイス。
驚愕を誤魔化しつつ、私は鞄を持つ。
「名字さん、帰るんだ」
「いや、弓道部に顔を出す。ではね、幸村君。また明日」
隣の男子に声をかけられつつ私は歩き出す。
幸村君の友人の三成に似た声。三成と幸村。
奇妙な縁だと思いつつ、私は先を急いだ。
体験入部を終えた。
一度部活で弓を引かせて貰ったが、経験者よりある意味場数をこなしているし、相原でも弓道部だから容易かった。
回中を難なく決めれば、驚かれた。
幸い、妬み嫉みはない。
顧問と部長に歓迎されたのだから、まぁ部活動は問題ない筈。
遅くなった帰宅路を歩みつつ、スーパーで買い物。
今日は白菜と挽き肉が安い。
あ、三人じゃなくて、今日は一人分でいいのか。
作るのが、急に面倒になった。
一人だと、手抜きしがちだな。
いいや、柳生家にお裾分けさせて貰おう。
そう決め、ヒロ君にロール白菜どうですかのメールを打った。