多分長編なんだと思う

□授業と放課後の歴女視線
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「名字名無しさんです。宜しくお願い致します」

頭を下げて、指定された席に向かう。

比呂君とクラスが別れた。

指定された席の左隣の子は、一見女かと見違う程の美人。

左右と前に挨拶をし、新調した教科書を開く。

立海より相原よりレベルが高いけど、比呂君の教科書を借りて頑張ったから大丈夫。…だと思う。

頭が悪くないとは思うし…多分。

私は世界史が苦手だけど、日本史専攻したし、さらりと世界史なぞる様に教わる分には問題はない筈。

教師がお経の様に読む説明を聞き流しつつ、私は晩御飯のメニューを考えた。





立海は、文武両道で部活動は必須。

部活で得意にならざるを得なかった弓道を、仕方なく選択した。

朝練はないが、放課後の部活動は面倒かもしれない。

私は小さく息を吐いて教室に戻れば、左隣の男子が誰かと会話している。

…は、無双の石田三成?

「っ、」

反射的に声を掛けようとしたが、言葉が出なかった。

口調が、三成とは異なるものだったから。

かなり無双の三成ボイス、三国恋戦記の文若ボイス。

驚愕を誤魔化しつつ、私は鞄を持つ。

「名字さん、帰るんだ」

「いや、弓道部に顔を出す。ではね、幸村君。また明日」

隣の男子に声をかけられつつ私は歩き出す。

幸村君の友人の三成に似た声。三成と幸村。

奇妙な縁だと思いつつ、私は先を急いだ。





体験入部を終えた。

一度部活で弓を引かせて貰ったが、経験者よりある意味場数をこなしているし、相原でも弓道部だから容易かった。

回中を難なく決めれば、驚かれた。

幸い、妬み嫉みはない。

顧問と部長に歓迎されたのだから、まぁ部活動は問題ない筈。

遅くなった帰宅路を歩みつつ、スーパーで買い物。

今日は白菜と挽き肉が安い。

あ、三人じゃなくて、今日は一人分でいいのか。

作るのが、急に面倒になった。

一人だと、手抜きしがちだな。

いいや、柳生家にお裾分けさせて貰おう。

そう決め、ヒロ君にロール白菜どうですかのメールを打った。
 

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