多分長編なんだと思う

□参謀と策士(?)の試験結果
1ページ/1ページ

図書室に行けば、三成…じゃなかった、柳君がいた。

わざと時折視線を投げる振りをしながら、勉強をする。

家で勉強したいけど、近くで建築工事があってて騒がしい。

部活動も休みなので、図書室に来てみたはいいが案外騒がしものなのだね。

柳君がいるからだろうな。

ファンと思われる人間が、柳君を見つつひそひそ話す。

芸能人を盗み見るファンみたい。

教室に向かう事にしたいけど…。

ミーハーの可能性を相手の思考から消さない様にするには、席を立てないな。

教科書を読みながら、背もたれに寄りかかる。

国語、数学、理科は問題ない。

社会は…、今回は大丈夫だろう。

英語は英単語さえ覚えれば、どうにかなる。

柳君に視線を送りつつ、柳君が三成だったら無双奥義を出しかねないな、なぞ思いつつ、一人苦笑した。





中間テストは一位だった。

柳君と、同一一位。

テニスをやりつつ一位とは凄いものだ。

一体どんな勉強をしているのか。

…ああ、彼は情報に基づく統計を取るのが得意だったな。

必要な場所を重点的に勉強しているのかもしれない。

その情報や統計を取るのも、労力が要るが。

少し、気を抜いたかな。

「一位、ですか」

「ふふっ」

比呂君にニヤニヤ笑ってみせる。

「賭けでもすれば良かったかな」

「ギャンブルは感心しません」

「あらあら、やる前から勝てないと思ってる?」

「…いいでしょう、受けて立ちます。期末試験で勝負ですね」

私は、口元に指をやって笑った。

「くっ、またハメられましたか」

「ん?」

「その仕草。何かを企んだり成功した時にやる仕草ですよ」

「ふふっ」

この仕草も、わざと。

本当に困った時は、企んでない様にみせる為の。

比呂君には、前に一度言ったけど。

昔だったから、忘れているのか。

或いは、忘れた振りをしてるのか。

「紳士、ねぇ?」

「何を仰有りたいのです?」

「ご想像にお任せするよ」

「まぁいいでしょう。次は勝ってみせますよ」

「楽しみにしてる」

クックッと思わず喉を鳴らして、私は教室に戻った。
 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ