多分長編なんだと思う
□詐欺師と歴女のサボタージュ
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授業をサボった。
私なら、ミーハーでも使える奴は使う。
仕事をサボらないなら、適当に相手していれば都合のいい部下だから。
これは完全に母親の考えだが、私も概ね賛成だった。
授業は古典。お経みたいに流れる古文は勘弁。
視聴覚室へでも向かうかな。
あそこ、日当たりいいし。
すでに壊れたドアノブは、鍵がなくても開くのを知ってる。
誰もいない。ふむ、好都合。
強引に開けて、中に入る。
奥に既に先客がいた。
奥にいかなくても、十分部屋は暖かい。
気付かない振りをして、携帯を弄くり出した。
暇だから。
歴史関係のものを閲覧していくと、かなり楽しい。
平和と言うのは、本当にいい。
こんなにゆっくり落ち着いていられるのも、平和だからだな。
眠くなってきた。
少し寝る予定だったけど、気配に敏感なのは変わっていなくて、奥の人物が私を見に来た時には起きてしまった。
…仁王君、か。
「こんにちは、仁王君。偶然だねぇ!」
口調を変えて、笑ってやる。
仁王は平常を装いつつ、不快感を隠した。
「そうやのう」
「良かったら、お話しない?」
断るのを見越して、ニコリと笑う。
鳥肌が立ちそうだし、爆笑したいけど。
「いや。一人になりたいんじゃ。すまんのう」
「ううん。こちらこそごめんねぇ?」
愛想良く、中身を隠して。
私の普段は知られていよう。
柳君と並び、学年一位を取った。
口調が少し違うのも、直ぐに気付いた様だ。
ぶりっこは辛いが、致し方ない。
ミーハー、更にサボり。
これでテニス部は益々私を敬遠するし。
計画通り、と、私は仁王君がいなくなった後にニヤリと笑った。