多分長編なんだと思う

□紳士と策士(?)の作戦会議
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真田君は、幸い手が少し腫れ上がっただけだった。

右利きだそうだし、裏拳は左手。

その左手首を打ったけど、部活には問題なさそうだ。

だが、私は計画が大幅に狂った。

ミーハーならば、お詫びにマネージャーを!なんて不自然じゃない様に言いださなければならない。


幸村君が、あの件で不機嫌だと聞き及んでいる。

マネージャーを了承して仕返しされかねない状況で言い出すのは危険だ。

そして、過去のマネージャーはいじめにあって退部した者もいる。

私はいじめられても平気だと予想されれば、面倒なのだ。

幸村君が裏で権力を持たなければ、悠々と弓道部に居れるけど。

幸村君の権力は、参謀と呼ばれる柳君の情報収集能力に支えられている部分がある。

教師陣の弱みを握るのは、いい手段だ。

勿論、私も幾つかは押さえてるけど、入学時からいる彼には及ばない。

「さて、どうすべきか」

「どうします?」

珍しく比呂君と二人で弁当をつつきながら考えるが、いい案が浮かばない。

「マネージャーになっても有能な仕事をしないと言うのはどうです?」

幸村君に絞られる落ちが見える。無意味な叱られは勘弁願う。

「仮病は?」

「柳君の情報収集能力で勘づかれる」

「あぁ、そうですよね」

さてはて、どうしたものか。





結局。決心し、放課後に真田君の元へ。

「ごめんねぇ。お詫びにマネージャーしようか?」

「いや、必要ない」

「そっか。お大事にね?」

結局、事態を利用した。

マネージャーを言い出せば、刺すような視線。

これに怯えた風にしておく。

真田君の性格を鑑みて、断るとは思った。

いつもは三人、幸村君と柳君もいるけど、一人を狙った形。

幸村君が後から訂正なり何か言い出さない事を願うという、やや危うい手段。

こんな手段を使わざるを得ないと言うのが、少し情けない。
 

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