多分長編なんだと思う

□策士(?)と詐欺師の詐欺し合い
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差出人不明の呼び出しの手紙が下駄箱にあった。

已む無く、部活前に向かう。

人気のない、告白人気スポットからやや離れた場所。

「来たか」

うげ、仁王君。

しかも、凄く色っぽい。騙されないけど。

「名無しさん、きんしゃい」

下の名前呼びか。ミーハーは行かねばならない。

笑顔を作って、行きたくもない詐欺師の胸に乙女走りで飛び込む。

自分が気持ち悪…。

「のう」

さっきとうって変わって、冷たい声。

「え、ん?なぁに?」

まぁ、詐欺師は詐欺を止めたんでしょうけど、騙されたふり。

「演技、いい加減やめたらどうじゃ」

「え、え?や、やだ、なんの事ぉ?」

「詐欺師には通じんぜよ」

「っ、えぇ〜?」

最初から、完全に騙せるとは思っていないよ。

今は、騙されてるみたいだけどね、詐欺師さん。

「忠告じゃ」

「ん?」

「おまんのペテンには引っ掛からんぜよ」

…それは困ったな。

まぁ、仮にそうだとしても、テニス部マネージャーにならなければ問題ないけどね。

「ボロが出たのぅ。屋上で幸村と話よったが、お前さんも肩書き狙いか」

ふむ。

言葉から推察するに、ペテンに引っ掛かってくれてるという事か。

油断は出来ないけど、まぁ上々かな。

「肩書きに惚れる女には、ろくなのがおらん。テニス部に近付くんじゃなか」

騙された過去でもあるのか?

それだと何か申し訳ない。

あぁ、ダメだ、変な同情は足元掬われる原因になる。

そう思ったけど、吐き捨てて去っていった仁王君の背中に、こっそり謝った。
 

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