多分長編なんだと思う

□テニス部と策士(?)の和解会談
1ページ/2ページ

比呂君から渡された懐紙。

"屋上"それだけの達筆文字。

握りしめて、大人しく二人屋上へ向かった。

ポケットに袋と林檎を入れて、階段を登って行く。

扉を開ければ、テニス部レギュラー御一同様。

そして、そこに混じる私の幼馴染み。

「やぁ、名字さん。ちゃんと来てくれたんだ」

黒く微笑まれたが、私も笑い返した。

「ふふふ」

幸村君は楽しそうだが、周りが引いている。

「騙してすみませんでした」

頭を下げて撤収しようとしたが、腕を捕まれた。

「いや、本当に見事だったよ。柳と仁王や俺すら気づかなかった」

「柳生が暴露しなければ、卒業まで気付かなかった確率、78%」

はは、随分低いんだな。

「その柳生君が騙されてる可能性もあるよ、柳君?」

「ああ。最初の謝罪しなければそう思った」

「謝罪は予定ではなかったよ。本当は柳生君が騙された事にして、嘘を貫きたかった」

「…訂正する、気付かなかった確率98%だ」

「数字など意味がないんだ。結果的に、成功か、そうでないかだから」

そう言って、私は真田君を見る。

「ごめんね、手はもう大丈夫?」

「む。問題ない」

「そっか」

「やっぱり、その口調が一番しっくりくるね」

幸村君に言われて、私は自嘲するしかない。

「こういうのはどうかな」

幸村君も楽しそうだ。

「マネになる変わり、そっちも私の願いを聞くと言う条件は却下ね?」

予め、台詞を封じる。

はは、予想に容易いよ、そんなのは。

幸村君の困惑顔は珍しい事だ。






次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ