多分長編なんだと思う
□テニス部と策士(?)の和解会談
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比呂君から渡された懐紙。
"屋上"それだけの達筆文字。
握りしめて、大人しく二人屋上へ向かった。
ポケットに袋と林檎を入れて、階段を登って行く。
扉を開ければ、テニス部レギュラー御一同様。
そして、そこに混じる私の幼馴染み。
「やぁ、名字さん。ちゃんと来てくれたんだ」
黒く微笑まれたが、私も笑い返した。
「ふふふ」
幸村君は楽しそうだが、周りが引いている。
「騙してすみませんでした」
頭を下げて撤収しようとしたが、腕を捕まれた。
「いや、本当に見事だったよ。柳と仁王や俺すら気づかなかった」
「柳生が暴露しなければ、卒業まで気付かなかった確率、78%」
はは、随分低いんだな。
「その柳生君が騙されてる可能性もあるよ、柳君?」
「ああ。最初の謝罪しなければそう思った」
「謝罪は予定ではなかったよ。本当は柳生君が騙された事にして、嘘を貫きたかった」
「…訂正する、気付かなかった確率98%だ」
「数字など意味がないんだ。結果的に、成功か、そうでないかだから」
そう言って、私は真田君を見る。
「ごめんね、手はもう大丈夫?」
「む。問題ない」
「そっか」
「やっぱり、その口調が一番しっくりくるね」
幸村君に言われて、私は自嘲するしかない。
「こういうのはどうかな」
幸村君も楽しそうだ。
「マネになる変わり、そっちも私の願いを聞くと言う条件は却下ね?」
予め、台詞を封じる。
はは、予想に容易いよ、そんなのは。
幸村君の困惑顔は珍しい事だ。
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