多分長編なんだと思う
□キングと参謀の連環拝聴
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立海がマネージャーを確保した、と言う話は、推測通り青学や氷帝に広まった。
氷帝が合同練習を申し込んで来たが、それもマネージャーである名字名無しさんを探る行動の一貫である事は間違いない。
此方とて、合同練習は好都合。
データを取る好機でもあるが、何分最近は天候が悪かった。
氷帝の跡部保有の屋内練習場を使えると言うのも、メリットの一つ。
珍しく遅刻しなかった赤也が朝食を移動中に取っており、小言を垂れる弦一郎を横目に見ながら、氷帝と合流した。
精市と跡部が挨拶をすれば、跡部は予想通り名字を呼んだ。
「いじめや嫌がらせなどはないのか?」
「ふふっ、あったらマネージャーやっていませんね」
「そうか。うちもマネージャーが欲しいんだが、立ち回りを参考に聞きたい。男子をマネージャーにすりゃいい話だが、希望者がいなくてな」
俺も興味がある。勿論、精市もだろう。
名字は、弦一郎と赤也を見て、然り気無く距離を取った。
聞かれたくない、と言うより、聞かせる話ではないと判断したのだろう。
俺のデータがそう言っている。
「参考になるか分からないけど」
言って、名字は口を開く。
精市に目配せし、気配を消して会話を盗み聞いた。
俺はデータを取りながら、流石に何度も手を止めてしまった。
これは、参考に出来る様な話ではない。
「因みに、私、友人も結構いるので、体育などでハブられたりもないし、極々平和だよ」
それはそうだろう。
策を使わない名字は、人柄がいいと言うデータは取れている。
人望にも厚い。
更に名字の策でカップルになった者もおり、信仰すらされる始末。
普通に頭がキレるだけではない。
「聞いたはいいが、参考にならねぇな」
「あはは、残念だね」
名字は朗らかに笑った。
権謀術数。相変わらずの策士ぶりだが、手口が大胆だ。
呼び出しの手紙を貰った時点で、家庭用のデジカメを仕掛ける。
顔など肌が露出している部分以外を殴らせ、学校を通さず、録画物を証拠に直接警察へ被害届けを出した。
当然、加害者は未成年ながら汚点になる。
生徒もさる事ながら、親が動揺したのは聞かずとも明らかだ。
勿論、怪我の診断書も忘れない。
警察により、警察、学校、加害者被害者の生徒と保護者による会議になる。
学校側は、一先ず生徒と保護者と教師による話し合いをすると警察を返す。
これは、名字の予定通り。
話し合いを激化させたかった名字は、警察が邪魔だった。
激化させなければ、弱みを握れない。
「話し合いの記録を取らせて下さい」
名字は、筆記用具とメモを出した。
それでいて、極秘で録音と録画での記録をしている。
記録には間違いないが、録音録画が本命だと気付いた者はいなかっただろう。
筆記用具とメモによる記録は、ある事ない事書いたと、後で何でも言える。
記録は許可してある以上、例え筆記が本命の記録でなかろうと何も問題はない。
筆記での記録など、名字は明言していないのだから。
記録の許可が降りた時に、密かに笑ったであろう名字が目に浮かぶ。
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