多分長編なんだと思う

□策士とキングの謀
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氷帝なう。

部活の時間には戻るけどね。

前回の練習試合で、条件次第では話を聞く約束をして。

そして、その話の内容が今回の跡部君の頼み。

マネージャーを見つける、なぞ、そう言うのではなくて、生徒会関係の女子のいじめをどうにかして欲しい、って内容。

出された条件は、跡部グループ所有のテニス場のゴールド会員証。…と、現金。

ゴールド会員証は私が持っていれば、立海レギュラーが格安で屋内練習場を借りれる。

現金は交通費や雑費として渡されたけど、私の常識の範囲を越えていた。

返すのも跡部君のプライドを傷付けるし、どうしたものかと思ったが、滝君に笑って貰っておけと言われたのでそうした。

跡部君にとっては微々たるものだろうし。

氷帝の人間て、お金持ちってだけじゃなく、親が権力持ってたりするからやりにくい。

跡部君も、いくら日本有数の大企業の御曹司とは言え、下手に動けば後から面倒な事になる。

ただでさえ忙しい彼は、余計な時間を掛けたくない。

そんな訳で、私に話が来た。

「出来そうならやってくれ」

何とか出来るなら、って事は、出来ないなら出来ないで仕方ないって事だね。

「先に立海でやった、殴らせた後に警察コースは使えないね」

親が権力者だと、警察やマスコミを押さえるの簡単だろうから。

「と、なると」

「なんだ、手はあるのか」

「うん。かなり。そのうち、跡部君の気に入りそうな策を献上するよ」

早い話、他に女性の影をちらつかせれば意識はそっちに行く。

だけど、その女性が傷付くなら彼は引き受けないだろうし。

「世の中にはね、マスコミより怖いものがあるんだよ」

今回ターゲットの女性グループのスペックを確認。

跡部君からその子達の親を教えて貰い、"炎上"を匂わす。

インターネットの力を借りる。ただし、見せ掛け、つまり脅し。

乗ってこなければ、校内の噂でも十分効果は見込めるし。

これだけだと、生徒会の子に迷惑掛かるから、グループ内の誰かがやったと言う風に見せかける必要がある。

「後は内部分裂を待つ。離間の計だね」

離間の計とは、ありもしない裏切りを匂わせて内部を混乱と裏切りを誘うもの。

信頼関係がきつく結ばれているなら通じないけど、水面下で足の引っ張り合いしてる彼女達には効果は絶大だろうから。

「どう?キング」

「ああ、それで構わねぇ。名字、お前」

「何?」

「恐ろしい女だな」

そう言うけど、跡部君は少し楽しそうだよねぇ。

彼の言う雌猫に、本当に手を焼いてるのが伺い知れるよ。

「さてはて。躾のなってない雌猫さんには、静かにして貰いましょうかね」

私は唇に手を当てて笑えば、跡部君も喉を鳴らして笑った。
 

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