多分長編なんだと思う

□策士と友人の会話風景
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本屋近くの喫茶店で自己紹介の後に会話。

硬直する手塚君を見て苦笑い。

当初の予定通り、マネージャー確保の経緯を聞かれた。

立ち回りを伝えたら、やっぱりこうなってしまった。

「手塚君、真面目だから人を罠に掛けるの嫌いそうだね」

一目でそれと分かる反応。

「…だが、そうしなければならなかったのも分かりはする」

「うん、そうなんだよね。世の中には、綺麗事じゃどうも出来ない事もあるから、ね」

泥沼劇を沢山ネットで見た。

実際、マネージャーをするに辺り、泥沼劇を体験したし。

何事もなかった風を装いつつ、ブラック珈琲を飲む。

本当は苦い珈琲は苦手だけど、人と話す時にはブラック珈琲を飲むのを心掛けている。

万人が万人、そうだと言う訳じゃないけど、ブラックを飲めるのは格好いい大人と言うイメージがあるから。

上から交渉する場合もあるから、こう言った小細工は大事なんだよ。

ま、心理戦の一環かな。

一応策士目指してるから、小さな所を疎かに出来ない。

「お前は、常にそんな泥沼の中にいるのか」

「まさか。最近はそう言う事が多かっただけ」

氷帝にも行ったしね。

「そうか。若いのに苦労しているのだな」

「!?」

ちょ、ちょっと、若いって…!

いや、確かに手塚君ふけ…大人びてるけど、私と同い年だよね。

危うく吹くところだったよ。

「私より、余程苦労している人もいるけどね」

驚愕を表に出さず言ってのける。

手塚君はちょっと驚いたあとに、少しだけ笑った。

表情乏しくて、やりにくい。

「名字」

「なにー?」

「お前と友人になりたい。いいだろうか」

「は?私と?手塚君がそう言ってくれるのは嬉しいけど」

良く、私と友達になろうとしたね。

今の話すると、普通引くと思うんだけどな。

「そうか。宜しく頼む」

「こちらこそ」

計算していないところで、意外な人物と友人になれた。

どうしよう、耳が幸せなのに、友達なら益々幸せになる。

変なフラグじゃないといいんだけど。

いや、耳が幸せだからもうどうでもいい、うん。

アドレスを交換して、書籍の話やテニスの話したり。

ふと、手塚君が私を見据えた。

「名字、お前は友人だけは謀に掛けれない質だろう」

うっ。人間観察眼あるね。

「そうでもないよ。カップルにする時には謀するし」

「そうか。やはり悪い謀は出来ないか」

やだ、この人。鋭いんだけど

「そう思ってればいいよ」

挑発したけど、手塚君が笑った気がした。

「そうする」

あー。見透かされて何か恥ずかしい。
 

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