多分長編なんだと思う
□部長と部員のとある冬
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策士と呼ばれてるとは言え、先を見通せる訳ではない。
まして、部長の病なんて。
冬。
その日は特別寒かった気がする。
偵察先で知った、部長が倒れて運ばれた事実。
焦りつつ、それを押し殺して私は冷静を装った。
跡部君の家でバイトしてたお陰で、人脈は広い。
部長が倒れた翌日も部活がある。
それが終わり、出来たばかりの人脈のパイプを使って病気に関する資料を集めた。
倒れたの、私だったら良かったのに。
学校を休み、パソコンを使って似た症状を調べつつ、治る方法も調べていった。
それに連なり、希望が打ち砕かれていく。
…回復の見込みは、低かった。
だけど、完全復活した例がない訳じゃない。
ドイツの医師が手刀し、何人かを回復させていた。
「ドイツに行くか」
幸い、金銭的にもかなり余裕がある。
スケジュール帳と睨み合い、極力部活を休まずに行ける日にちを算出した。
ドイツ語は分からない。
已む無く、跡部君にドイツ語を出来る人を紹介して貰った。
理由は聞かれなかった。
部長が入院したのを、跡部君も知ってる。
私の性格も知られてるから、回復の参考を探しに行くのも予想してたのだろう。
「部活には出なきゃね」
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