多分長編なんだと思う
□部長の策士の適切距離
1ページ/1ページ
長い闘いになると言われた。
正直、覚悟はしてたけど、辛い。
「苦労をかける」
真田に言えば、構わんと予想通りの回答が返って来た。
「日本でも、指折りの医師が手刀医になるらしいんだ。何度か手術は受けなきゃなんないみたいだけど」
「そうか」
「無敗で俺の復活を待つんだろ?」
「当たり前だ」
真田らしく、つい笑みが溢れる。
そう言えば。
「名字さんは、良くやってくれているのかい?」
「ああ、奴がマネージャーで良かったと思う」
本当にそうだ。
つい、先日の会話を思い浮かべる。
今の手刀医が俺に付いた経緯を、両親が話してくれた。
わざわざ、ドイツまで行って、同じ症状の病を治した医師に直々にコンタクトを取ったこと。
だから、手刀医が俺に付けた事。
裏で名字さんが、相当手を回してくれたらしい。
勿論、俺の親も手を尽くしてくれていた。
だからこそ、名字さんがそんな事をしてたのを知れた訳で。
名字さんらしいんだけど、気にするだろうから内緒にしてくれと頼んだらしい。
全く、彼女は何処まで影に回ろうとするんだろう。
距離を取るのは保身だろうけど、少しもどかしくなって来たよ。