長編

□あちらとこちらの連理共鳴2
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【真田サイド】





四時起床が、癖になっている。

目が冷めたので、蓮二を起こさない様にと気を付けてつつ、着替え終わる。

…しまった、地理が分からないから走りにも行けないではないか!

昨日静芭さんに、道場を使ってもいいか聞いておくべきだったか。

そう思いつつ、筋トレでもするかと下に降りる。

ダイニングには、誰もいない。

外を見れば、小雨が降っていた。

今日も太陽は出ないらしい。

「早いね、弦一郎君。おはよう」

ガチャリと、扉が開く音がして、静芭さんが出てきた。

「お、おはようございます」

「うん」

ニコリと、微笑まれた。

相変わらず大人で凛とした女性だと思う。

「弦一郎君、眠れた?」

「はい、お陰様で」

「良かった。いつもこの時間に起きるの?」

「はい」

「そう。特別早く起きたんじゃないならいい」

どうやら、俺の体を心配してくれたらしい。

細かい所まで気にかけてくれる女性だが、反って申し訳ない気持ちになった。

「静芭さんは、何時もお早いのですか?」

「…最近はね」

俯き、長い睫毛が、下に下りる。

聞いてはいけない事を聞いた様だと謝罪しようとしたが、静芭さんが不意に顔を上げた。

「そうだ。弦一郎君、君も私たちの事を好きに呼んで」

「よ、宜しいのですか」

「勿論」

俺は迷ったが、呼びたいと思った言葉を口にする。

「静芭姉上」

そう呼べば少しキョトンとされたが、次に微笑まれた。

「姉上は新鮮だ。弦一郎君、一緒に素振りしない?」

俺は2つ返事で頷くと、何時もと変わらない様にニコリと微笑まれた。

「行こう」

伴われ、道場に向かい、木刀で素振り。

静芭さんは、真剣だったが。
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