長編

□あちらとこちらの連理共鳴4
1ページ/12ページ

【仁王サイド】





月日っちゅーモンは、存外早く流れる。

一週間があっちゅう間に過ぎた。

更に、もう一週間。

もう直ぐ、呉芭姉と静芭姉に保護されて半月になる。

この分なら、帰る日もあっちゅう間に来るぜよ。

昨日は部活もどきをやった後、静芭姉に連れられて買い物に行った。

和服を買いにのぅ。

日曜日じゃが、二人に会った日の雨で中止になった花火大会があるらしい。

そう言えば、先週日曜も雨じゃった。

ちと遠いらしいが、呉芭姉が行くと言うて張り切っとる。

「混むから、電車を使った方がいいんじゃないの?」

「だけど、ゆっくり出来ないでしょう?電車も混むから。運転するのは私なんだし、気にしないで」

「いやいや、気にするし。ビールも飲めないしょ」

呉芭姉と静芭姉は、交通手段で迷っとったが、呉芭姉が何もかも決めた。

「だったら温泉宿を予約して、そっからタクシー!」

「呉芭、」

「はい決まり!」

結局、静芭姉の運転で、ちぃとばっかし遠い花火大会を見る為に温泉へ行き、温泉からタクシーで現地に向かい、花火を見る。

そんで、一泊して帰るっちゅう事で落ち着いたらしいぜよ。

「ふふ〜!温泉上がりのビール、楽しみ!」

「…。いや、もう何も言うまい」

やっぱり諦めたらしいの、静芭姉は。

浴衣やら着替えを積んだ車で、一同は温泉へ。

「混浴、楽しみじゃのう」

冗談で言えば、真田が慌てた。

「な、な、」

「あはは、そうだねぇ」

…。
マジであるんか。

「ちょ、待てよぃ!」

「呉芭姉、静芭姉、さ、流石にそれはどうかと」

「え?私とお風呂に入るの、嫌?」

助手席から振り返り、上目遣いで首を傾げる。

完璧じゃ、男心をくすぐるのには。

流石に幸村と参謀は平然を装うが、内心動揺しとる様だの。

俺もじゃが。

「呉芭。混浴なんてあった?」

「ないよーん」

無いのに安心したが、呉芭姉は更に爆弾を落とす。

「家族風呂はあるから、みんなで入れるね」

「いや、流石に中学生だから気を使いなさい。思春期だから」

静芭姉の冷静な判断に、内心安心したのは内緒じゃ。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ