長編
□あちらとこちらの連理共鳴4
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【仁王サイド】
月日っちゅーモンは、存外早く流れる。
一週間があっちゅう間に過ぎた。
更に、もう一週間。
もう直ぐ、呉芭姉と静芭姉に保護されて半月になる。
この分なら、帰る日もあっちゅう間に来るぜよ。
昨日は部活もどきをやった後、静芭姉に連れられて買い物に行った。
和服を買いにのぅ。
日曜日じゃが、二人に会った日の雨で中止になった花火大会があるらしい。
そう言えば、先週日曜も雨じゃった。
ちと遠いらしいが、呉芭姉が行くと言うて張り切っとる。
「混むから、電車を使った方がいいんじゃないの?」
「だけど、ゆっくり出来ないでしょう?電車も混むから。運転するのは私なんだし、気にしないで」
「いやいや、気にするし。ビールも飲めないしょ」
呉芭姉と静芭姉は、交通手段で迷っとったが、呉芭姉が何もかも決めた。
「だったら温泉宿を予約して、そっからタクシー!」
「呉芭、」
「はい決まり!」
結局、静芭姉の運転で、ちぃとばっかし遠い花火大会を見る為に温泉へ行き、温泉からタクシーで現地に向かい、花火を見る。
そんで、一泊して帰るっちゅう事で落ち着いたらしいぜよ。
「ふふ〜!温泉上がりのビール、楽しみ!」
「…。いや、もう何も言うまい」
やっぱり諦めたらしいの、静芭姉は。
浴衣やら着替えを積んだ車で、一同は温泉へ。
「混浴、楽しみじゃのう」
冗談で言えば、真田が慌てた。
「な、な、」
「あはは、そうだねぇ」
…。
マジであるんか。
「ちょ、待てよぃ!」
「呉芭姉、静芭姉、さ、流石にそれはどうかと」
「え?私とお風呂に入るの、嫌?」
助手席から振り返り、上目遣いで首を傾げる。
完璧じゃ、男心をくすぐるのには。
流石に幸村と参謀は平然を装うが、内心動揺しとる様だの。
俺もじゃが。
「呉芭。混浴なんてあった?」
「ないよーん」
無いのに安心したが、呉芭姉は更に爆弾を落とす。
「家族風呂はあるから、みんなで入れるね」
「いや、流石に中学生だから気を使いなさい。思春期だから」
静芭姉の冷静な判断に、内心安心したのは内緒じゃ。