長編
□あちらとこちらの連理共鳴5
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【呉芭サイド】
結局、ギスギスしたまま一週間が過ぎちゃった。
テニスをしてる時は、意外とギスギスが和らいだ気がする。
テニスが好きで、真剣だからだろうなぁ。
何かの拍子で、またちょっとギスギスしたけど。
再び来た三回目の日曜日。
遊園地に行ってみる事にした。
映画とかも考えたけど、静芭は美術の授業として映画見せたらしいから。
「呉芭姉さん、手を繋ごう」
「呉芭姉、俺も」
「幸村、仁王っ!呉芭姉、俺も」
そうは言うけど、手は二本しかないよ。
静芭は、蓮二君と弦一郎君と手を繋いだ。
弦一郎君は相変わらず照れてるけどね。
「分かった」
「は?何が分かったっての」
「ギスギスした理由」
みんなが一斉に静芭を見た。
「ちょ、タンマ静芭姉!」
「いや、聞かなきゃ解決にならないよ」
ジャッカル君は隠したいみたいだけど、いたたまれない時がある私たちとしては、とっとと解決して、また仲良くなって欲しいのだ。
って、何でみんな静芭を止めるの。
「何でそんなに隠したいのさ」
「恥ずかしいからでしょ」
首を傾げる私に、静芭は分かってないね、と苦笑した。
「お姉ちゃん独り占めしたい弟心理」
「成る程!」
「静芭姉、分かってねぇ…。半分合ってるけどよ」
「違うの?ジャッカル君」
静芭はキョトンとジャッカル君を見つめる。
みんなもジャッカル君を見つめて…、弦一郎君と蓮二君が睨んでる気がするけど。
「ちが…いや、あ、あ、合ってる、合ってる」
あ、やっぱ気のせい?普段通りだ。
「そっかー。ふふふ。嬉しいなぁ」
嬉しくて三人をぎゅーと抱き締めてみた。
静芭は弟がいたから分かるのかな。
私は弟と余り会った事がないから、分からないけど。
でも慕われるって嬉しいなぁ。
みんな、大好きだよ!