長編
□あちらとこちらの連理共鳴6
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【仁王サイド】
あっという間に、月日が経つ。
…本当に、1ヶ月があっという間じゃ。
最後の日曜日、ドライブに出掛けた。
坂の上の丘公園に行こうかと聞かれたが、断った。
もしかして、早く帰ってしまうかもしれん。
そんな気がしてのぅ。
俺だけでなく、幸村も、真田も、柳も、丸井も、ジャッカルも、みんな同じじゃった。
結局ドライブでぐるぐると回って、寄り道して、途中で飯食べただけで1日が終わってしもうたんじゃったか。
昨日はその後でみんなで夜更かしして、寝て。
今日またこうして起きる。
来たときは、早く帰りたかったかったんじゃがな。
思い出せば、あの日は雨。
考えてみれば、来た日より、呉芭姉と静芭姉に会った日のほうが記憶にある。
俺らはびしょ濡れじゃったのぅ。
着替えさせられて、二人に飯を食わせて貰うて。
暖かい布団の有り難さが、よう身に染みた。
呉芭姉と静芭姉の優しさもじゃ。
会ったのが、呉芭姉と静芭姉で良かった。
俺らは何も返せんのが、申し訳ないぜよ。
一応、みんなで記念日は買ったが、喜んでくれるじゃろうか。
まぁ、あの二人なら何でも喜んでくれそうやがの。