長編
□新世界で奏でるlife3
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合宿が終わり、私たちマネージャーは青学のバスに乗り込む。
マネージャーの先輩は人気があって、取り合いになっていた。
私は兄の隣に座る。
周りも、それが当たり前の事の様に何も言わない。
「兄さん」
「何だ」
「私、中学でマネージャーを辞めようと思う」
言った瞬間、何故か周りが静かになった。
「高校生になったら、だけど。女子テニスに入る」
「そうか」
「何も言わないの?」
「お前が決める事だ」
「ありがとう。高校入ったら女子テニス部に行くよ」
「いいのか?」
試合や大会があるぞ、と兄さんの視線が語る。
「うん。吹っ切れた」
言えば複雑そうにされたけど、小さくそうか、と呟かれる。
「兄さん。私に、テニスを教えてくれてありがとう」
「テニスは好きか?」
「大好き。兄さんの試合見るのも好きだけれど。大好きだよ。テニスに出会えて、良かった」
「そうか」
「うん」
テニスが、立海のみんなと結び付けてくれた気がする。
雑誌を見ておけば、もっと早く気付いただろうけど。
でも、もういい。
きちんと再開出来たのだから。
成長した彼らを見れて、その上、これからも成長を見れるのだから。