長編

□新世界で奏でるlife3
2ページ/8ページ

翌日。

いつもの様に朝練に出て、教室に入ればアリアがニヤニヤ笑ってた。

「ふっふ〜ん。聞いたよ?立海レギュラーにモテモテだったそうじゃない?」

「どう婉曲したらそうなるのか知りたい」

「アレを手名付ける後輩凄い!って、あんたの先輩騒いでた」

先輩が原因なのか!

「で。誰かと付き合うの?付き合ってるの?」

「冗談は止めて」

「まぁ、あんなお兄さんいたら、理想も高くなるわな。あんた、ブラコンだし」

ブラコンなのは認める。大好きなのだし。

「それはそうと。アリア」

「何?」

「私、中学でマネージャー辞める」

「本当!?じゃあ、じゃあ!高校入ったら女子テニス入る!?」

「その積もり。反感買いそうだけど」

男子テニス部のマネージャーが、女子テニス部に入ったら快く思われなさそうだ。

「あ、ないない。あの手塚国光の妹だし。それに」

アリアはそう言いつつ綺麗に笑った。

私はこの笑みが好き。呉芭みたいで。

「部活終わって、練習してるでしょ?男子テニス部相手に。あんたの実力知られてて、欲しがられてるんだから」

ピンっと頭を指ではねられて、私はそこを押さえる。

若干痛かった。

「私も、勿論嬉しいよ。あんたが入るの。楽しみにしてる」

「ありがとう。アリア」

「高校も練習は厳しいけどね。お互いレギュラー取れる様に、頑張ろうね」

「うん」





裕太君が転校するらしい。

「明日から聖ルドルフ行く」

「急だね。寂しくなる」

「そ、そうか。なぁ手塚」

「うん?」

裕太君は、おずおず携帯を出す。

あぁ、アドレス交換か。

「いいよ。赤外線でいい?」

「! お、おぅ」

互いに携帯の背中を合わせて、やりとりをする。

「登録完了」

「こっちも。時々、メールするよ」

「あぁ」

私は授業開始の為に、席に戻る。

明日から、彼の席は空席になるのか…。

彼はお兄さんに対して強いコンプレックスがあった。

転校先で、どうか彼がのびのびと学生生活を送れますように。

テニスを、出来ます様に。

私は願わずにはいられなかった。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ