長編
□新世界で奏でるlife3
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翌日。
いつもの様に朝練に出て、教室に入ればアリアがニヤニヤ笑ってた。
「ふっふ〜ん。聞いたよ?立海レギュラーにモテモテだったそうじゃない?」
「どう婉曲したらそうなるのか知りたい」
「アレを手名付ける後輩凄い!って、あんたの先輩騒いでた」
先輩が原因なのか!
「で。誰かと付き合うの?付き合ってるの?」
「冗談は止めて」
「まぁ、あんなお兄さんいたら、理想も高くなるわな。あんた、ブラコンだし」
ブラコンなのは認める。大好きなのだし。
「それはそうと。アリア」
「何?」
「私、中学でマネージャー辞める」
「本当!?じゃあ、じゃあ!高校入ったら女子テニス入る!?」
「その積もり。反感買いそうだけど」
男子テニス部のマネージャーが、女子テニス部に入ったら快く思われなさそうだ。
「あ、ないない。あの手塚国光の妹だし。それに」
アリアはそう言いつつ綺麗に笑った。
私はこの笑みが好き。呉芭みたいで。
「部活終わって、練習してるでしょ?男子テニス部相手に。あんたの実力知られてて、欲しがられてるんだから」
ピンっと頭を指ではねられて、私はそこを押さえる。
若干痛かった。
「私も、勿論嬉しいよ。あんたが入るの。楽しみにしてる」
「ありがとう。アリア」
「高校も練習は厳しいけどね。お互いレギュラー取れる様に、頑張ろうね」
「うん」
裕太君が転校するらしい。
「明日から聖ルドルフ行く」
「急だね。寂しくなる」
「そ、そうか。なぁ手塚」
「うん?」
裕太君は、おずおず携帯を出す。
あぁ、アドレス交換か。
「いいよ。赤外線でいい?」
「! お、おぅ」
互いに携帯の背中を合わせて、やりとりをする。
「登録完了」
「こっちも。時々、メールするよ」
「あぁ」
私は授業開始の為に、席に戻る。
明日から、彼の席は空席になるのか…。
彼はお兄さんに対して強いコンプレックスがあった。
転校先で、どうか彼がのびのびと学生生活を送れますように。
テニスを、出来ます様に。
私は願わずにはいられなかった。