長編

□青の双璧4
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朝は、今日から早めに起床。

お爺様との手合わせまで、私は走る。

手合わせが終わり次第シャワー。

そして、朝食と弁当の用意。

朝食を食べ終わったら、直ぐに出発。

「行ってきます!国光君、先に行きますね」

学校へ向かうが、足された重りが地味に効いて来る。

重すぎれば筋肉を壊し、軽過ぎてもいけない。

その微妙なラインを、蓮二君は計算してくれた。

特訓メニューは、二倍やっている。

筋肉に負担を掛けたら止めなければ。

体を壊しては元も子もないのを、私は良く知っている。

スカートを使い、下着が見えないようにジャージを着用。

上は中にシャツを着ているから、着替えるのは直ぐだ。

大石先輩は、既に来ている。

「大石先輩」

「静芭さん?今日はやけに早いね。手塚は?」

「私だけ先に来たんです」

驚かれた。

無理もないかもしれない。ずっと二人一緒だったのだから。

「大石先輩。練習なさるのでしたら、手伝わせて下さい」

「勿論だよ。こちらからお願いしたいくらいだ。でも、どうしたんだい?」

「強くなりたいんです」

そんなに驚く事だろうか。

かなり驚愕され、かえってこちらが戸惑ってしまう。

「こりゃ大変。やる気満々だ。君が小学六年生の時も、こんなに真っ直ぐした目でコートに来たよね」

驚かれたかと思えば、次は苦笑。

訳が分からず、私は大石先輩を見つめるしか出来ない。

「いいよ。そうだ、どうせたから試合を頼めるかい?」

「よ、宜しいのですか…?」

「うん。朝練になるまで、少し打とう」

「お願いします!」

アリア。私はやっぱり先輩に恵まれているよ。





大石先輩と試合するのは、何も初めてではない。

数度経験がある。

因みに勝てた事はない。

初めて一球入れた時は、本当に嬉しかった。

入れたのは、その一球だけだけど。

ウエイトを外し、コートへ。

心臓が煩く脈打つ。

楽しいが、高揚感に浸る余裕などない。

サーブを貰い、打てばラリーが始まる。

まだだ、兄さんの妹には、まだまだ足りない。

「足りないよ…!」

私はネットに少し走った。

大石先輩は私が前に出るのが意外だったらしい。

だが、大石先輩相手に後ろを開ける危険性も承知している。

勿論、前に出たのはわざとだ。

…来る。ムーンボレー。

前に出たが、左足で着地と同時に方向を転換。

飛んで、ラケットに当てる。

そのまま飛んだ勢いを殺さず、回転力に変え、ラケットを振ってやる。

入るだろうが、返されるのも目に見えている。

菊丸先輩の様には行かないが、組み手の受け身の要領で体制を建て直し、捕球体制へ。

帰った球を、零式ドロップショットで返した。
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