長編

□青の双璧5
1ページ/12ページ

都大会開始。

律先輩や部長が話があると言うので、早めに家を出た。

待ち合わせ場所で一人壁打ちの練習をすれば、律先輩と部長とアリア。

アリアも早めに来るとは思わなかった。

「またやってる」

部長は苦笑すると、アリアを見た。

アリアは不安そうに私を見る。

壁打ちを止めて、ラケッティング。

「手塚。高島から最近あんたがおかしいって相談があったから」

「っ!最近静芭、無茶苦茶ばかりして!ボロボロじゃん!何で何があったか話してくれないの!何でそんなに無茶な練習してんの!」

泣き出しそうなアリアを見て、私は動揺した。

「無茶じゃないよ。知り合いに体を壊さないギリギリのメニューを頼んだだけ」

実際は書いてるものを二倍やったが、私が二倍やるのを蓮二君は見越しているだろう。

「パワーアンクルもギリギリ計算してるから、大丈夫」

「じゃあ、何で急にそんなにやる様になったのさ」

「聖ルドルフとの試合で気付いたから。兄さんに相応しくない妹である事」

瞑目し、兄さんのテニスを思い浮かべる。

「私、兄さんの妹らしく強くなろうと思ったから」

ただ、それだけ。

手塚国光の妹であるべく、人が思う手塚国光の妹の壁を越えなくては。





青学のみんなが応援に来てくれた。

彼等は都大会優勝をした彼等と同じく優勝し、また都大会もアベック優勝したいところ。

更に氷帝学院の跡部さんたち。

今日は知らない子がいる。

「こんにちは、跡部さん、忍足さん」

「よぅくそ兄貴御一行」

「誰がくそだ。滝、日吉。妹のアリアと、前に話した静芭だ。アリア、静芭。こっちが滝、こっちが日吉。日吉はお前らと同級だ」

紹介されて礼をすれば、案の定出る兄さんの話。

「へぇ。本当に似てないんだね」

「伊達眼鏡かけたら、似るんや」

今は兄の話が少し重い。

アリアが心配そうに視線を寄越すので、大丈夫と伝えた。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ