長編
□青の双璧5
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都大会開始。
律先輩や部長が話があると言うので、早めに家を出た。
待ち合わせ場所で一人壁打ちの練習をすれば、律先輩と部長とアリア。
アリアも早めに来るとは思わなかった。
「またやってる」
部長は苦笑すると、アリアを見た。
アリアは不安そうに私を見る。
壁打ちを止めて、ラケッティング。
「手塚。高島から最近あんたがおかしいって相談があったから」
「っ!最近静芭、無茶苦茶ばかりして!ボロボロじゃん!何で何があったか話してくれないの!何でそんなに無茶な練習してんの!」
泣き出しそうなアリアを見て、私は動揺した。
「無茶じゃないよ。知り合いに体を壊さないギリギリのメニューを頼んだだけ」
実際は書いてるものを二倍やったが、私が二倍やるのを蓮二君は見越しているだろう。
「パワーアンクルもギリギリ計算してるから、大丈夫」
「じゃあ、何で急にそんなにやる様になったのさ」
「聖ルドルフとの試合で気付いたから。兄さんに相応しくない妹である事」
瞑目し、兄さんのテニスを思い浮かべる。
「私、兄さんの妹らしく強くなろうと思ったから」
ただ、それだけ。
手塚国光の妹であるべく、人が思う手塚国光の妹の壁を越えなくては。
青学のみんなが応援に来てくれた。
彼等は都大会優勝をした彼等と同じく優勝し、また都大会もアベック優勝したいところ。
更に氷帝学院の跡部さんたち。
今日は知らない子がいる。
「こんにちは、跡部さん、忍足さん」
「よぅくそ兄貴御一行」
「誰がくそだ。滝、日吉。妹のアリアと、前に話した静芭だ。アリア、静芭。こっちが滝、こっちが日吉。日吉はお前らと同級だ」
紹介されて礼をすれば、案の定出る兄さんの話。
「へぇ。本当に似てないんだね」
「伊達眼鏡かけたら、似るんや」
今は兄の話が少し重い。
アリアが心配そうに視線を寄越すので、大丈夫と伝えた。