長編

□覚醒2
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コートに行けば、アリアが仁王立ちした。

更にラケットを突き上げる。

「女性手塚ゾーン!ププッ」

「アリアが何でそれを知ってるの!」

「景吾が忍足君に聞いたって」

と、なると侑士さんは謙也さんに聞いたのか。

迂闊な事は言えないものだ。

「景吾の場合、女性跡部ゾーンだね」

「ああ、跡部さんモテるからね」

「景吾さ。合同文化祭以来静芭気に入ってるよ」

「へぇ」

「あはは、やっぱり他人事か」

と、言うよりどんなリアクションすればいいと言うのか。

「ふふ。双璧も来たのね。大会前日だから、フリーにしたのに」

小百合先生がクスクス笑い、コートに入るが、私達が来るのはきっと彼女の想定通りだ。

今日はスパイが少ない。

休みと言っていた事と、弱点分析で忙しいのだろう。

「今日はフリーだから、好きにやりなさい。但し、手塚は無理しないで。また発熱されたら使えないから」

「分かっています」

「ふふ、宜しい」

「静芭、今日はどうする?」

どうするか。

取材陣は少ないが、いない訳ではない。

「軽く打ち合おうか。…ボールは2つで」

「!」

「大丈夫、手塚ゾーン使って、ある程度はフォローするから。やるだけやってみたら?」

「ん!やる!」

やる気出したアリアの頭を撫でて、反対のコート向かう。

コートに向かいがてら、出されたテニスボールを二つ手にした。

「いくよ?」

「おうよ!」

アリアがラケットを構えたのを見て、私はボールを打った。





全国大会、開幕。

男子の開幕式が終わり、女子の開幕式。

立海女子からの、優勝旗返還。

その優勝旗を、今度は青学が持って帰りたい。

勿論、他の学校もうちが、と思っているだろうけれど。

開幕式が終わると、みんなで会場のアリーナを回る。

雰囲気に慣れる為らしい。

一回戦、BAYで不戦勝扱いだから、今やっている熊谷第三と御矢本第一、どちらかとか。

「御矢本第一は、スパイをかなり送り込んでたから、当たったら厄介かもねー」

「そうですか」

そろそろ、男子は試合開始だろう。

確か、立海も四天宝寺もBAYだった筈。

氷帝か六角か不動峰を応援しに行こうか。

「アリア」

「あ、はい」

部長がアリアを見て、ちょっと笑った。

アリアはソワソワしているのが丸分かりだ。

「集合場所と時間、分かってる?」

「はい!」

「よし、ならちょっと早いけど解散ね」

「やたっ!ありがとです部長!」

走って行くアリア。

氷帝の応援に向かうのだろう。

私は迷ったが、次に青学と当たるだろう六角の試合を見に行く事にした。
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