長編
□璧たちよ、高く翔べ1
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U-17、合宿参加決定。
施設内容は詳しく書いてなかった。
だが、男女の集合場所が別々。
勿論、トレーニングも男女別なのだろう。
「男子とは別とか、詰まらないし」
「当たり前でしょ?別に決まってる」
「そう言う静芭だって、手塚先輩に中々会えないよ?」
「仕方ないよ。カフェや図書館は一緒だから、それで十分」
「…私、景吾の練習とか試合見たかったのにさ」
私も兄さんの練習や試合は見たい。
だが、決められているなら仕方ないではないか。
それに、気に掛かる事がある。
兄さんのドイツ行き。
秋から、と言うが、合宿参加となれば途中抜ける事になる。
どうするのだろうか、兄さんは。
「静芭」
「うん?」
「合宿、一緒に行かない?」
「兄さんと行きたいのだけど」
「…泣くよ?」
アリアを見れば、本当に泣きそうだ。
涙目で私を睨んでいる。
「わ、分かったから!」
「よっしゃ!」
突然元気になり、ガッツポーズ。
…手には目薬。謀られたらしい。
「アリア」
「騙される静芭も悪いからね。へへっ」
「もう…」
だが、約束は約束。仕方ない。
合宿では兄さんに会える。
それで満足するとしよう。
私は、合宿当日に待ち合わせして、アリアと合宿に向かう事にした。
合宿まではまだ一週間の時間がある。
それまでに準備しなくては。