青祓
□1.
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「うぐあッ!!」
少年は、目の前の少年を殴る。
「コイツ、悪魔かよ…?!」
「やべぇ…まじやべえよ!」
自分達の頭の人物をボコボコにされた彼らは、尻尾をまいで帰っていく。勿論、頭である人物を担いで。
「だぁれが悪魔だ。てめえらの方がよっぽど悪魔だろうが…。」
その場にたっている彼、奥村燐は、顔に触れた手に付いた血を眺めてため息を吐く。
―…バサァ
一羽の鳩が飛び立つ。綺麗な白が明け方の空へと消えていく。その先を見つめていた燐は、ふと少し離れたビルの上に人がたっているのを見た。
「…!!」
こちらを見ている。遠くてはっきりとは見えないが、そんな気がした。
……子供?
もっとはっきり見えないだろうかと、目を擦る。
「…何やってんだ…俺」
―…再び瞳を開いたときには、既にそこには何もなかった。