青祓
□2.
1ページ/5ページ
鍵を差し込むと、ガシャンと音をたてて扉が開らく。
目の前には、広く長い廊下と、デカデカしい扉がいくつもあった。
「すげぇ!」
「一年生の授業は1105号室です。こちらです」
驚きながらもついていくと、ひとつの扉の前で止まる。
―…緊張してきた、
今日は、メフィストは犬に変身し塾を見学するようだ。
心臓をドキドキさせながら、闘志を抱いてその扉を開けた。
―…汚ねぇ
「…奥村燐だ。よろしくな」
何なのだろうか…誰も挨拶を返さない。シンとした教室には、ザッと見て10人も生徒がいなかった。取りあえず…、と適当に席に着いた。
メフィストによると、ここにいる全員が祓魔師になるべく訓練生らしい。
周りを見渡すと、後ろの方にあの少女が座っていた。黒髪のショートカットと黒を主にした服装。
「お前、」
声をかけようと口を開くと、彼女は下に向いていた顔を上げ、瞳をこちらに向けてきた。
間違いない。
彼女の瞳は一度見たら忘れない。真っ黒で、しかし何処と無く紅いような…そんな瞳。何も感じ取ることが出来ない無の瞳だ。
「先生がいらしたようだ」
「はじめまして。講師の―…」
メフィストの言葉に、前を向いたそこには…
――…え?