小説

□ぬくもり
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「ふー」

季節は春

最近は任務もなくていい気分だ

なんつっても昼寝が最高に気持ちいい季節だからな

タバコふかしながらいつもの特等席に寝転がるのがまた日課になりそうだな

今年に入ってからテマリから連絡がない

いくら任務が忙しいとはいえ手紙の1つくらいよこしたっていいだろう

オレは大きなため息をつくと特等席に寝転がる

目を閉じれば最後にテマリと会った日の事を思い出していた









「王手」

「また負けちまったぜ」

「お前はいつもツメが甘いんだよ」

「へいへい、わかってるっつの」

「じゃあ約束通り甘栗甘の団子おごれよ」

「また団子かよ。飽きねーな」

オレがそう言うとテマリは顔を赤くする

「なっ!あたしが何を食べようがあたしの勝手だろ!いいから行くぞ!」

テマリはオレの手を引くとずんずん進んでいく

「おい、怒ってんのかよ?」

テマリは答えない

そうこうしてる間に甘栗甘に着いてしまった

中へ入ると店員が来て注文を聞いて来る

「ご注文は何になさいますか?」

「あたしは団子あんみつセット」

「んじゃあオレは団子に抹茶で」

「かしこまりました」

店員がいなくなるとまたテマリは無言になった

「おい、怒ってんのか?」

「怒っていたとしたら、お前はどうするんだ?」

「団子好きなだけおごってやるよ」

「じゃあ、怒ってる」

「何だよその答えは!」

「あたしは今怒ってるんだ、お前はあたしが怒ってたら団子好きなだけおごるんだろ?」

オレはまたテマリの策にはまってしまった

だがおごるといったからにはおごらなければならない

オレは自分の財布の中身が無くなることを覚悟した





甘栗甘から出るとオレの財布は元気が無くなっていた



テマリはこの後帰らなければならないからオレはテマリを門の前まで送る

門の前でテマリはオレに一言ある言葉を告げた

「今度来る時は風と共に」

「どーゆう意味だよ」

「それはお前が考えろ」

と言うとテマリはオレの口に自分の唇を重ねた

「またな」

「あぁ、気ぃつけて帰れよ」

オレはテマリが見えなくなるまで見つめていた









「あん時は財布が空になっちまったんだよな」

オレは空を見上げ独り言をつぶやく

「テマリに会いてぇなぁ」




オレは気が付けばテマリに会いたい一心で門の前まで走っていた


「ハァハァ」

「何でこんなとこ来てんだよ」


空を見上げれば桜の花びらが満開でさらに春になったということをオレに感じさせた

「テマリに会いてぇ、ちきしょう」

オレは気が付けば泣いていた

声を殺し一人静かに門の前で、夜になるまで泣いていた





やがて泣き止みもう来ないのだろうと諦め帰ろうとしていた

その刹那

急に風が吹き桜の花びらが空に舞う

「おい、男の癖になに泣いてやがんだ」

オレは後ろからの聞き覚えのある声に振り向く

「テ、テマリ・・・。」

そこにはもう来ないと思っていたテマリが立っていた

「お前なんでここにいんだよ」

「なんでってシカマルに会いたくなったからだよ」

テマリは照れながら答える

「それよりお前は何で泣いてたんだ」

「何でってお前に会いたくて泣いてたんだよ」

オレも恥ずかしかったが答えた

「今日はいい風が吹いていたのでな、木の葉に来たくなった。もちろんお前にも会いた・・・」

オレはその言葉が言い終わらないうちにテマリに口づけをしていた

今まで会えなかった時間を埋めるかのように




そして最後に二人で抱きしめあった





互いのぬくもりを忘れぬように・・・。
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