Eternal Friends
□01)ご神木
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はらりと枝は落ちる。
表現的に可笑しい気はしているけど、本当にそんな感じだった。
辺りは闇に染まり、なんもかんもが闇の中だったのに、その木の周りだけうっすらと光を放っていた。
その木はとても大きくて、私の目線の辺りに丁度しめ縄が飾ってある。
みんながご神木と呼んでいた。
いつでもその周りはとても安心できて、とても心地好くて。
毎日私は挨拶にきた。
――こんにちは。
幹に手をついて心の中で呼びかけると、葉がさわさわと返事をしてくれる。
それが気のせいでもなんでもよかった。
別に霊感があるとかそんなんじゃない。
たしかにうちの家系は滅法それが強いときてるけど、私はとんとそんな気配もない。
どうも姉が全部持っていってくれたんじゃないかってくらい、なんにもみない。
平和で普通でいいとはいうけど、どうもまわりにそーゆうのが強い人ばかりいると、私の方が異端なんじゃないかと思えて不安になる。
――元気?
幹に抱きついて木の音を聞きながら眠ると、きまって不思議なことは起きる。
でも、せいぜい僅かな未来を見るくらいだ。
大したこともない。
しかも、それは人に話すととたんに起きなくなる。
だから、このことは家族しか知らない。
――信じていないだろうけど。
* * *