Instrumental
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言葉は武器だ。
危険すぎる剣で他人も自分も傷つける諸刃の刃。
言葉は怖い。
使うだけ跳ねかえるものだから。
だから、私はできるだけ使わない。
呪文学はできるだけ正確に間違えるようにして、目立たないようにして。
友達を作ると使わなければならないから、作らない。
「なんとか言ったらどうなのよ!」
しゃべらないから気に入らない。
そんな理由で苛められるけど、でもそれでも使うわけにはいかない。
使ったら、私はきっと人間ではなくなってしまう。
ふわりと何かが頭に乗った。
小さな梟だ。
羽根が目に覆い被さり、慰めてくれる。
この子たちは何も言わなくても良い。
全部、わかってくれてる。
だから、私はあなたたちのためだけに歌うよ。
シアワセの歌を。
歓喜の歌を。
* * *