Instrumental

□Magic Word
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 ホグワーツで一番大きな木の下は、心地良い風が吹いていた。
 今日は、卒業式。
 みんな一緒にいられる、最後の日。

 私は校長に頼み込んで、今、ここにいる。
 最後の歌を歌うために。

 卒業しても、また逢えるようにと願いを込めて。
 力を増幅させてきた、この忌まわしい杖を握り締めて。
 真っ青な雲一つ無い空に言葉を繋ぐ。

 いついつまでも、この幸せな時間を忘れぬように。
 世界中が優しくあるように。
 魔法族も非魔法族も関係なく。
 人も自然も分かたれることなく。
 いついつまでも、この最高の時を忘れ得ぬように。

 歌い終わりにはいつも彼の足音と私を呼ぶ声がしていた。
 それも、今日でおしまい。

「シリウスに言葉の祝福をあげる」

 真実は明かせないけれど、貴方の幸せを一番に想ってる。
 なんだよ、と優しく笑う彼にそっと口づける。

「"貴方の幸福は貴方だけの物"」

 遠く離れてしまっても。
 きっとここで過ごした時間を忘れないように。
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