Tea Party

□to Crystal
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 ガラス玉を不思議そうに彼女が覗き込む。
 その瞳に自分が見ているのと同じモノが映っているとは限らない。
 彼女は非魔法族で、魔法とは無縁に生きてきたからだ。

「先生ー、これスノウボール?」
「水晶だよ。
 何が見える?」
「綺麗なスノウボールですね。
 それに中に見えるお城も本物っぽい」

 本物だと何度言っても、彼女は信じない。

「綺麗ですねー……」

 外にはここと同じぐらい雪が積もっている。
 彼女が僕の元へ通ってくるようになって、もうすぐ一年が経とうとしていた。

 そっと立ち上がり、彼女の背後に立つ。
 振り返った彼女はきっと驚くだろう。

「そこはホグワーツ」

 耳元で囁く。
 だけど、よほど魅せられているのか、いつものような慌てた反応はない。

「ホグワーツ?」
「僕の通った学校だよ」
「これが学校…さすがイギリスですね」

 なにがどう流石なのかわからない。
 まあ、彼女はいつもこんな感じだ。

「行ってみたいかい?」
「美味しい紅茶、ありますかね」

 本気で悩んでいる彼女に思わず笑いが零れる。
 彼女の基準はいつもそれしかない。

「そうだね。
 特別な紅茶ならあるかも」

 くるりと振り返った彼女が近い距離にもかかわらず、こちらの襟首を掴む。

「是非、行きましょう」

 予想通りの言葉に、また笑った。
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