Dear...

□とりあえず日用品を
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お昼ご飯が食べ終わる頃にはお互い警戒心という名の壁は消え去っていた。


「マルちゃん」
「?」
「お洋服、買いに行こっか」
「おようふく、よい?」
「うん。だって今着てる服を洗濯したら着るのなくなっちゃうでしょ?」
「よいっ」
「(よいって…それは返事なの?)お外に出るの嫌?」
「い、いやじゃないっ!行きたいよい!」


身振り手振りで行きたいと言うマルちゃん。あまりに必死で少しだけ笑っちゃった。だって本当に可愛いんだもん。


「じゃあ行こっか!」
「はい、よいっ!」
「マルちゃんは良い子だね」
「いいこ?」
「うん」
「いいこにしてたらいいことあるよい?」
「ん、んー…まあ、ない事はないと思うけど、でもあたしは悪い子なマルちゃんより良い子なマルちゃんが好きだなあ」
「じゃあマルいいこになるっ!」
「マル今のままでも充分良い子だよ?」
「もっともーっといいこになって、おねえちゃんといっぱい遊ぶよいっ!」


ここが道端でなければ今頃マルちゃんをギュウッと抱き締めていた。うん、絶対抱き締めてた。自信満々で言える。


「マルちゃんはあたしを喜ばせるのが上手だね」
「?だってマル、おねえちゃんとずっといっしょがいいよい」
「あたしなんかでいいの?」
「おねえちゃんがいいのっ、よい」
「積極的なマルちゃんも良いけど、あたし照れちゃう」
「照れちゃうのよい?」
「うん」
「おねえちゃん、マルのことすき?」
「もちろんっ、可愛い可愛いマルちゃんがすきだよ!」
「マル、かわいいよい?」
「可愛すぎるくらいだよっ!」
「でもマルおとこのこよい」
「可愛いって思うのに女の子も男の子も関係ないんだよっ」
「よい?」
「あー、まだマルちゃんには分かんないかな」
「おとなになったら分かるの?」
「うん、絶対に分かるよ!」
「はやく大人になりたいよい」
「(マルちゃんの大人の姿を見ることは出来るのかなあ)普通に考えたら無理よね」
「?」
「あ、なんでもないよ」
「…おねえちゃん、マルね」
「ん?」
「これ、ほしいよい」


その小さな手の中青い鳥が空を自由に飛んでいるイメージを持たせる写真立てがあった。

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