Dear...

□子供の怖いもの
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「スー…スー…」
「やっと寝てくれた。………ふぁ〜あたしも寝よ…」














「…ちゃん。…えちゃん。…おねえちゃん!」
「ん、どうしたの…?まだ真夜中だよ」
「トイレいきたいよい」
「トイレ、ドア開けて直ぐ左だよ」


もう何回か行っている筈のトイレ。何てあたしを起こしたんだろう?……もしかして。


「お、おばけ、こわいよい…っ」


今にも泣きそうなマルちゃん。これはやばいぞ。


「あたしと一緒に行こっか。そしたら怖くないよ。だから泣かないで、ね?」
「よいっ」


コクンと頷いたマルちゃんにホッと安心。だけどまだ油断出来ない。廊下は真っ暗だ。多分、いや…絶対マルちゃんは怖がる。仕方ない。


「マルちゃんおいで、トイレまでだっこしてあげる」
「…んっ」
「廊下は暗いから目瞑っといてね」
「わかったよい」


部屋から出て左に行くと直ぐにトイレがある。扉の前でマルちゃんを下ろし待ってるからねと言うと直ぐにトイレに入って行ったマルちゃん。我慢してたのかな。するとノックが二回なった。居るか確認してるのかな?コンコンとノックをして返事した。それから一分もしない内に出てきたマルちゃん。
「まただっこしてあげるからおいでー」
「マル、あるくよい」
「どうして?」
「マル、おとこのこだからおねえちゃんをお化けからまもるよい!」


意気込んではいるが、やはり怖いのか一歩も踏み出さない。


「マルちゃん。あたし怖いからおてて繋いで欲しいな」
「!いいよいっ」
「ありがとねマルちゃん」


震えてる手を繋いでやると震えはまるでなかったかのように治まった。あれ、思ってる程怖くなかったのかな?


「おねえちゃんこわい?」
「うん?ああ…怖い、かな?」
「マルがいっしょだからだいじょぶよい!」
「何だか逞しいですな」
「たくましいってなによい?」
「強いって意味に近い、か?」
「マルおっきくなったらおねえちゃんをこわいひとからまもるよい」
「あらら、マルちゃんに守られるのか(ほんとなんて逞しい事言うの)」
「マルね、おねえちゃん大好き」
「あたしもマルちゃん大好き」


怖い人になるのがこの子の将来なんだけど、今それを言うのは野暮な事。

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