ふぁんたじあ 小説1

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T出会い




「ん、んー!」

オレ、春斗はもうすっかり住み慣れた学園寮の自室で目一杯に伸びる。

関節がポキポキとなるがほぐれていく感覚に酔いしれてベットにボフッと倒れこむ。

ふぅ、と息を吐いて目を閉じると隣の部屋から変な声が聞こえてくるのに気がついた。

オレは、気持よく寝ようとしていたから、

邪魔されたことに少しむかついて文句を言いに行こうと立ち上がった。


隣の部屋の前につくとさっきより声が大きく聞こえた気がした。

聞き耳を立てて少し様子を伺ってみた。

『いっ・・・血が出て・・・やめ!!!!』

『君も弱いな、つまらない。』

『わけわかんねぇよ!!っっやめ・・・』

隣の部屋の主と聞いたことのない声の奴が言い争っていると確信して、

止めてやるべく部屋の扉を開いた。

オレが入ったことにより二人の意識がこっちに移る。

隣の部屋のやつはいろいろなところから血を流していて、

オレの顔を見ると意識を飛ばした。

もう一人の、女っぽい顔をした奴はオレの顔を見るとなぜか笑顔になった。

「春斗くん!!!」

と、笑顔で言われてもオレはおまえのこと知らない、という意味を含みながら軽くお辞儀する。

「どうしたの?何か用?」

何か用?と聞かれるまで何しに来たのか忘れていた。

いや、目の前の現実が異常すぎるからいけないんだ。

「・・・・うるさかったから、なにしてるのか気になっただけだよ。」

オレが喋ってる間、妙に笑顔の目の前のやつ。

はっきりいってきもちわるい。

「そっか、僕にあいにきたんだ」

・・・・は?

まったく噛み合ってないオレと目の前のやつの会話。

「春斗くん、せっかく会ったんだ。遊ぼう?」

やっぱり訳のわからないこいつ。

初めて会ったわけじゃないのか?

状況についていけていないオレを放置して目の前のやつは話しだす。

「鬼ごっこをしよう?僕が鬼で春斗くんが逃げるだけの簡単ルール。」

鬼ごっこと聞いてオレは睨む。

「ここの中で走ったら怒られる!」

オレの視線を物ともせず、目の前のやつは笑う。

「ばれないように、勝ったらプレゼントあげる。」

「名前は?」

間髪入れずに問う。

バレるバレないはこの際置いとくとする。

(どうせ断っても断り切れないだろうから。)

だけど、名前も知らない奴と鬼ごっこなんてしたくない。

この機を逃したら聞く機会が無くなりそうだから。

目の前のやつはあ、そっか。とつぶやいて「宗助」となのった。

やっぱり聞いたことのない名前で、忘れたわけじゃないのかと安堵した。

「範囲はこの寮内すべて。用意はいい?」

悪いといっても変わらないのだと察してオレは頷いた。

「じゃ、はじめ」

宗助の声を聞いてすぐに走り始める。

あ。どんくらい逃げればいいんだろ?聞くの忘れたわ。
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