今を君と生きる。

□第3章 巻き戻しの街で
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「『へっくしょい!!』」
アレンとレイは、同時に盛大なクシャミをして、お互い顔を見合わせた。
『…どうしたの?兄さん。』
「いや、なんか寒気がして…。レイは?」
『僕も…なんか噂されているような、ね?』
「それより、…これは何?アレンくん、レイ!」
チラシの裏に描かれた絵を見て、リナリーは怒ったように2人を見た。
「『…すみません。』」
「すみませんじゃない!どうして見失っちゃったの!?」
『だって…ねぇ?』
「はい…。すごく逃げ足早くて…この人。でも、ホラ似顔絵!こんな顔でしたよ。」
「似顔絵…?」
『ってそれ!兄さんが描いたやつ!?』
「あれ…?」
『ちょっと見せて!』
レイは、リナリーが持っている紙を覗き込んだ。
『…ごめん、リナリー。こんなんで分かるわけないよね。』
「え!?変ですか?」
「『うん、変…。』」
ハモるリナリーとレイ。レイは、メモ帳にペンで絵を描き始めた。
「レイ?」
『ちょっと待ってて、リナリー。僕の法がちょっとはマシだと思うから、描いてみる。その間に昨日の報告してて。』
黙々と描く。その間に、アレンとリナリーは話をした。
「昨夜退治したアクマ…、確かにその人に「イノセンス」って言ったの?」
「はい。2人で道に迷って路地に入り込んだら偶然みつけて…。運が良かったです。たぶん今回の核心の人物だと思いますよ。」
「2人共、今度から絶対一緒に調査しよう。」
アレンは、運ばれてきた食事にがっついた。
「リナリーの方はどうでしたか?」
「んー…コムイ兄さんの推測はアタリみたい。2人とこの街に入った後、すぐに城門にひき返して街の外に出ようとしたんだけど、どういうワケか、気づくと街の中に戻ってしまうの。
ちなみに、街を囲む城壁も何か所か壊して出れないか確かめてみたけど、ダメね。穴から外に出たと思ったら、街の中の元の場所に戻されてた。」
『ついでに空もダメだったよ。』
口を開いたのは絵を書き終えたレイだった。
『飛べる最大の所まで行ってみたけど結果はリナリーと同じ。』
「あ、それじゃやっぱり…。」
「私達、この街に閉じ込められて出れないってこと。」
『イノセンスの奇怪を解かない限り、な。』




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