短編集

□ぱいぱいいっぱい
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また胸周りがキツくなったなぁ

高校に入学して数ヶ月たったある日のこと。
ナルトは更衣室で着替えながら思った。
更衣室は女子の制服やカバンが散乱していたが中にいるのはナルトだけだった。
というのも、既に体育の授業は始まっておりナルトだけが遅れているからである。
なぜ、1人だけ遅れているのか。
常なら同じクラスのヒナタと共に教室を移動し授業の準備をする。
しかし、今日はひとつ前の授業が終わった休み時間に厄介な事が起こったのだ。

いや、世間一般に見れば決して厄介な事ではなく、むしろ喜ばしいことかもしれない。
ただ、高校に入学してからこうも頻繁に起こるといい加減にして欲しいと思ってしまうのだ。
受け入れない告白を。

ナルトが通っている木の葉学園は地元では有名な中高一貫の私立学校である。
そのため中学校からの持ち上がりばかりでナルトは高校生になっても環境が変わったようにあまり感じなかった。
しかし、高校受験で今まで市立の中学校に通っていた子供達も入学したのだ。

ナルトに告白してくる男子生徒たちはどうやら高校が木の葉にきたらしい。

中学校からの持ち上がり組の中でもナルトに想いを告げるものはいたが、ナルトの幼なじみである人物にも対抗できるような自身に自信を持った強者たちばかりだった。(それでももちろんナルトは交際を丁寧にお断りしてきたが)

男たちからナルトを阻むその幼なじみこそが「男の敵」と名高いうちはサスケである。

うちはサスケは幼少の頃から容姿端麗、頭脳明晰でたくさんの女の子にもてはやされてきた。
本人はそれをくだらないの一言で片づけるだけではなく迷惑、といいのける非常にいい性格をしている。
だが、悲しきかな。
年頃の女の子はとてつもなく前向きで、そんな失礼な態度でさえも“クールでかっこいい”と変換できるのである。
物心ついてから今まで告白されない日はなかったのではないかと疑いたくなるほどモテる、イイ男なうちはサスケ。

そんな彼がナルトの幼なじみで、2人は周りから見れば恋人に見える関係を築いていたのだ。
家が隣のため登下校はほとんど一緒。
昼食は仲の良い友達も含め必ず一者に食べる。
人の波が多いところではナルトが流されないように手を繋いだり腰を抱えたりする。
そしてお互いの家へ行き来することもある。
普通の幼なじみなら高校生にもなってそこまで深いお付きあいはないだろう。
しかし、サスケとナルトからすればそれはいたって普通の事であり、これからも改善する必要は全くないと思っているらしい。

それを知っているからこそ中学校からの持ち上がり組はサスケやナルトに下手に手出しをすることはなく、ただ指をくわえながらもし自分がサスケやナルトの恋人であったらなぁ、と想像するだけに止まるのだ。
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