短編集

□あーん
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あーん


「サスケ、あーん!」
そう言ったナルトの言葉に周りは固まった。
あのクセモノぞろいだと言われている今年の下忍担当教官たちもそろって固まっていた。
当事者もといこの沈黙を生み出した本人たちはそんな事はおかまいなしに自分たちだけで話を進めている。
だが、この場合、サスケは被害者だったのかもしれない。
ナルトにかけられた声に反応を返さず、ただ目を見開いていた。

「ちょ、ナルトッ!!あんた如きがサスケ君に何やってんのよッ!!」
「そ、そうよ!!あたしだってまだやったことないんだからねぇッ!」

今年下忍になった3つの班と3人の教官を混ぜた10人(当事者と1人の被害者は除く)が固まっている中、一番最初に意識を浮上させたのは、ある意味で問題児である2人のチームメイトのサクラだった。
そしてその声によって我に返った彼女の親友であるいのが同じような少女特有の高い声でナルトに文句を言う。

「何って、ご飯食べさせようとしてるんだってば」

しかし、返ってきたのはそれが当然だと言わんばかりの言葉だった。
言った本人は青色の大きな目をくりくりとさせながら「サクラちゃんってばおかしい」と続ける。
素直に小首をかしげながら返してくる様子は確かに可愛かったが、そんな事は怒りと動揺が先立っている2人の少女には関係なかった。

「だからッ!なんであんたがサスケ君にそんなことしてるんだって聞いてんのよッ!!」

癇癪を起こしたように「キーッ!!」と高い声を上げるサクラの肩を、大きくてゴツゴツした手が掴んだ。
その手をたどって行けば、三代目火影に問題児の面倒を(それも2人も!)押し付けられたカカシが神妙な顔でサスケとナルト、特に急に奇怪な行動を取ったナルトを観察していた。




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