お題小説

□つまりは何を言いたいのかというと、
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拝啓、大事な貴方へ
◆拝啓、片想いの貴方へ
 05:つまりは何を言いたいのかというと、


(ど、どういうこと何だってばよー!!)

ナルトは体育館の影で丸まりながら頭を抱えていた。
既に七月も半ばを過ぎ晦日になろうとしている。もちろん朝とは言え、日差しは強く気温は既に上がりきっている。
そんな暑い季節の中、日陰とはいえそこそこの気温になっている午後、
自分を抱えるようにして丸くなっているナルトは相当汗をかいている。
今、彼女を悩ませているのは暑さよりも何より、意中の相手“うちはサスケ”であった。

昨日、遅刻して登校したナルトにサスケがいきなりキスをした。
その事実が、未熟な恋に身を躍らせているナルトの頭の中を掻き乱したのだ。

好きな人にキスされる。
これはなんとも嬉しいことだろう。
そして相手があの“うちはサスケ”であると考えるだけで、そこら辺の女子は殺到してしまうかもしれない威力を持っている。
しかし、そんなサスケにキスされたことが今のナルトを悩ましているというのだから、それはある意味で贅沢なものだ。
まぁ、ナルトに言わせれば贅沢などではないかもしれないが。

好きな相手にいきなりキスをされた。
そこまではいい。
そのシチュエーションがどうであれ、ある程度妥協することができるだろう。
しかし、サスケのことを好きならば喜んで然るべきなのに、ナルトはキスされた瞬間にサスケを突き飛ばし、
遅刻してきたため授業は担任のカカシのものしか受けていないのに、午後の授業をすっぽかしたのだ。
時間が昼休みだったこともあり、その逃走劇を見たものは多い。
結局、どこに身を隠したのかも分からないままその日の午後の授業が始まった。









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