長編

□<11>
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Goodbye10年の片恋
11、驚愕


サスケが火影の執務室に呼ばれて後ずれたのはまだ朝が早い時間だった。
空はまだ太陽の光を得ていなく。その曇った日のような空が好きではなかった。
ナルトの瞳を表すような真っ青な空を好きだと思うようになったのはいつからだっただろうか。
少なくともナルトに会うまでは「今日もぶじに修行ができそうだ」ぐらいの認識しかしていなかっただろう。
それがナルトにあってから“好き”にまでなってしまうのだ。
自分がどれほどナルト中心に回っているかを思い知らされて苦笑いがこぼれる。

暗い道を早歩きしながらいったいこんな朝早くからどうしたのだろうかと思う。
寝ているところにいきなり飛んできた式は至急火影邸に足を向けるように、としか書いていなかった。
こんな時間の式だ。
それが任務であるということは生まれながらの忍者の血でなんとなく分かる。
そしてその任務に自分が組み込まれているということも。

昨日は任務から帰ったのが夜遅かったために十分な睡眠が取れていなかったが、
低血圧な自分も適当に任務をこなして死ぬぐらいなら少しの睡眠不足ぐらい我慢できる。
心の中でどうしてこんな時間に集合令を出すんだとぶちりながらも動く足は止めなかった。
そうしているうちに火影邸につく。
建物の中に入り廊下を歩いて綱手の執務室に向かう。
だが、近づくにつれて重くなる空気に顔をしかめた。
こんな時間に式を飛ばすぐらいだ。なにかしら危険で重要な任務であるとは思っていたが、
ここまで重い空気を想像していたわけではない。
心の乱れを落ち着けるために大きく息を吐いてから執務室のドアをノックした。

「おう、入って来いっ」

返事で帰ってきたのは相変わらず通り過ぎて耳に痛い綱手の声だった。
サクラの成長振りを見ればどれほど強く、そしてどれほど恐ろしい人間かが見て取れる。
それと同時にナルトの師えある自来也と酒を飲んだときの酒乱っぷりを知っているからこそ、サスケは綱手が少し苦手だった。







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