テニスの王子様。
□15.期待
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亮が、『好きだ』って、。
…うちに言ってるの?
とか思ったけど、うち以外に人はいなくて。
それに、繋がれた手から力が伝わったから。
本気、なんだなと
嫌でも分かってしまった。
そのせいか、うちの中で答えは出ているはずなのに、その言葉が出てこない。
早く、言わなきゃ。
口を開こうとしたその瞬間、
突然目の前に現れた赤髪。
手と手がバッと離された。
「抜け駆けすんなよぃ、宍戸。…行くぞ、里奈」
ブン太。
「え、でも…っわ」
うちがブン太と亮の顔を交互に見てると、
さっきの亮みたいに、今度はブン太がうちの手を握って走り出した。
ブン太に引かれながら亮をちらっと見ると、苦笑いをしていた。
前を向いて、繋がれた手と手を見る。
…かおがあつい。
赤いのがバレないように、俯きがちに彼の背中を追いかけた。