テニスの王子様。

□13.とまどい
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ブン太だぃ。






俺、かなりやばい所を見ちまった。




白石が、夢に告白…いや、告白予告するとこ。





何も見なかったことにしよう、そう思ってトレーニングルームを出ようとしたら

バッチリ目が合っちまった、伏してたのにいきなり立ち上がった夢と。



目を丸くする夢。

汗が垂れ落ちた俺。



「…ぶ、ブンちゃん、……聞いてた?」


「…ああ」


「ですよねー…!!」




また地に伏す夢。







俺は、外へ向かっていた足を逆方向へ動かして、夢の隣に座った。




「夢、好きなやついるのかよぃ?」




夢はゆっくり起き上がり、体育座りした。




「…いる、よ」


「マジ!?誰!?」


「言えるわけないでしょーが!」


「わりぃ、でも白石ではないんだよな?」


「……うん」


「じゃあ何で今フらなかったんだよぃ?」


「…だって、告白予告って告白じゃないっぽいから」


「同じじゃね?」


「…それを私も今考えてた」




2人で苦笑いする。




「…でもさ、告白予告っつーなら、夢が好きなやつと上手くいけば無効だよな」


「…そんなに簡単にいかないもん」


「可能性低いとか?」


「わかんない。近くに感じたと思ったら、遠くに感じたり……ていうか私が避けちゃっ…あぁぁぁ」



話読めねーよ!



「…たださ、高望みだとはわかってるの」


「そいつモテんの?」


「うん、かなり。知ってるだけでもすでに10人以上に告られてる」


「それ普通じゃね?」



一瞬、沈黙。



「…そうだった、ブンちゃんもモテるんだった、忘れてた」


「ひでーな!」


「普通じゃないんだからね!もうそんなんだから…あぁぁそうだよ、テニス部みんなモテるんだよ…」


「え、好きなやつテニス部?」


「ハッ!しまったぁぁぁ!!」




顔を覆う夢。

素知らぬフリしてればバレねーのによぃ。



…ってか、誰だ?


俺は幸村君のために夢の好きなやつを知らねぇと!



…というのも、体育祭前の練習で、俺が幸村君に呼び出された時《6.体育祭 3ページ参照》に、俺達は同盟(?)を結んだからだ。








『ブン太、ずっとどこ見てたの?よそ見してたよね』


『そっ…それは……』


『木戸さんだろ?』


『ちがっ『木戸さんのことが好きなんだろ?』ぅえ!?いや、べっ、別に好きじゃ『嘘だね』…わー!そうだよ、好きだ!』


『俺は、夢ちゃんが好きなんだ』


『ええっ!?だって幸村君、女の子に興味ないんじゃねーのかよぃ!?』


『今も夢ちゃん以外は興味ないよ』


『…はは、だよな』


『ということで、ブン太。部活中気になっちゃうのはわかるけど、テニスに身が入らなくなるのは納得いかないな』


『…すまねぇ』


『わかればいいよ。俺もできる限り協力するから』


『俺も協力するぜ!』


『余計なことはしないでね』


『…ヴっ…はい』





休憩中、こういう会話をしてたってわけだ。



っつーことで、探らねーと!




まずは、鎌をかけてみる。




「そいつ、同じクラスだろ?」


「ぎゃぁぁああ!?なんでわかったの!?」



扱いやしーっ!


これで20人に絞られた。




あとはどうすっかなー、と考えていると、夢はいきなり立ち上がった。



「私もう行く!試合頑張ってね、じゃあね!!」


「え、ちょ…!!」





あっという間に、出て行ってしまった。







モテるやつ、か。


……仁王とか?
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