テニスの王子様。

□13.とまどい
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仁王ナリ。





「ブン太…あのさ、……お菓子、何が好き?」


「えっ、あ、ああ、えーっと何でも好きだぜぃ!!」


「いや、なんか言って」


「…じゃ、チョコ!」


「ブラウニーでいい?」


「おおおおう!待ってる」




“待ってる”と自分で言っといて赤くなるブンちゃん。

里奈も真っ赤ナリ。





この2人は順調ぜよ。

2人に視線を送る宍戸が不安要素じゃが。







夢は…




「夢、俺が焼いたるから待っとき!」


「ごめん、私お肉苦手で…」


「ほなら、野菜ぎょうさん焼いたるで!」


「あ、ありがとう!」



白石に押され気味ナリ。



幸村は焼き肉奉行大石に絡まれとるからか、夢を気にかけてるけどどうにもできない様子じゃ。





しゃーないのぅ、わしが邪魔しちゃる。






「夢」


「ハルさん」


「ハルさんてなんや!?」


「仁王君のあだ名!」


「さすが夢やな…!」


「夢、焼き肉苦手なんじゃろ?」


「うん」


「今からコンビニ行くんじゃ、一緒に行くか?」


「行く!」


「ちょ、野菜…」






引き止めようとする白石を背に、夢を連れ出した。



「ちょっと行ってくるぜよ」



と幸村に言うと、「気をつけてね」と複雑な顔をして言った。

















コンビニに向かって歩いていても、夢の表情は暗かったナリ。



「大丈夫か?」


「え」


「辛そうナリ」


「顔に出てた…?」





こくりと頷く。





「うわー、やっぱりそっか、私すぐ顔に出るから…蔵に申し訳ないことしちゃったな」


「何が申し訳ないんじゃ?」


「嫌な思いさせちゃったかなって」


「嫌な思いしてたのは夢じゃろ」




そう言うと、夢は大きく目を見開いた。




「…なんか、ハルさんにはいろいろバレてる気がする」


「伊達に詐欺師やっとらんぜよ」


「あはは、そうだね!」


「笑ったナリ」


「え」


「我慢は、いかんぜよ」




そう言うと、夢の柔らかくなっていた表情がまた硬くなった。




「…でもさ、私が我慢すれば、皆幸せになれるかもしれない」




…おそらく、白石が夢に告白のようなものをした。

完璧な告白だったら、白石も夢もあんな風にしゃべれんはずナリ。


“我慢”っちゅーのは、幸村をあきらめることか?



これは、早々に手を打った方がいいかもしれんぜよ。






夢に話しかけようとすると、コンビニについてしまった。


運が悪いナリ。
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