テニスの王子様。
□15.期待
5ページ/8ページ
**********
〜翌日〜
部室にて。
今日、珍しく、部長幸村がなかなか来ない。
夢ちゃんはなぜか緊張してて手が震えてるっていうね。
てゆーか、うちのにやけが止まんないんだけど。
Don't stopなんだけど。
昨日、小橋がうちの部屋に花火大会から直で来て。
幸村と付き合うことになった、と!報告にきたわけですよ!
やっとかあああああ!!!!って夜中に関わらず叫びましたね。
うれし泣きする小橋と(まあ今日くらいはと思って)抱き合って、ことの経緯を聞いて、うん、
寝不足です!
でも、にやけは止まらない。
そうこうしてるうちに、次々と皆が来て。
やけににやにやしてるうちや放心状態の夢ちゃんを見て不思議な顔をする皆さん。
…そして、8時半になって幸村以外が揃った。
あの人大丈夫なの?今日来ないの?小橋と上手くいったの嬉しすぎて寝坊したの?バカなの?
ハンッと(心の中で)鼻で笑っていると、
ドアが開いた。
…来たか、幸村。
あ、やっべまたにやにや
「幸村、珍しく遅かったな。どうかしたのか?」
真田がそう尋ねると、幸村はにっこりと笑った。
「わざとだよ」
…へ?
「わざと遅く来たんだ、皆が揃ってる時間に来てやろうと思って」
そう言うと、こっちに向かってきて、やっぱり放心状態の夢ちゃんの手を引っ張り皆の前に連れて行った。
そして、後ろからハグ……っておい!!公共の場でなにを…!!
フリーズしてる部員がいますよ部長!!!!
つか小橋の放心状態余計ひどくなったああああ!!!!
うちが頭を抱えていると、幸村は笑みを浮かべたまま言った。
「夢、俺のになったから。皆、手出さないようにね」
一瞬、沈黙。
だけど、数秒後。
(一部の人たちから)ぅおぉぉぉ!?という歓声。
で、小橋を見たら。
完っっっ全にフリーズ。
そして、譫言のように呟いた。
「せいいち…私、走りに行ってきます」
言ったきり、ふらふらぁっと部室を出て行った。
「ふふっ、夢は面白いね」
……ま、ほっとくか、幸せ故なんだしね。