テニスの王子様。

□10.距離
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東京都立海大学合宿所





「つーいーたー!!」





小橋がそう元気に叫ぶのを、呆れながらも楽しそうに見る木戸。






俺…宍戸亮は、
怪我をしたあの日









木戸に惚れた。








その時は気づかなかったが、


それ以降いつの間にか
俺の目は木戸ただ1人を追っていた。




自分の右手を見る。




あいつがいなきゃ、こんなに前向きに怪我と向き合えなかったかもしれない。



大丈夫、


そういう慰めの言葉を聞いていたら、
きっと俺に甘えができていたから。



多分そう言わなかったのは天然だろうな…


侮れねぇぜ。





再び木戸に視線を戻すと…



隣に丸井の姿。


木戸は笑ってる。







木戸を見るようになってから気づいた。




木戸の隣にいるのは
ほとんどが小橋か、あいつ…丸井のどちらかだ。








俺は恋愛系には疎い。
激ダサだぜ。

だから、あの2人に恋愛感情があるかどうかなんてのはわかんねー。





でも、確実に言えることがある。


木戸との距離は、丸井よりも俺の方が遠いんだ。







けど……負けねー。






いや、負けたくねー。





この合宿…
プレーはできないけどその分、少しでもあいつの力になりてぇ。



勝負だぜ、丸井。
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