テニスの王子様。

□10.距離
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夜です。



夕飯、お風呂を済ませてようやく落ち着いて ベッドにダイブしてたら

里奈ちゃんがいなくなってました。



飲み物を買いに行ったのだと思います。
でもなかなか帰ってきません。





…ブンちゃんといちゃいちゃしてたりして。





夢ちゃん悲しい。






ということで、ってわけでもないけど、夜空を観にいきたいと思います。


夕飯の時、食堂の窓から見えた星がすごく綺麗だったから。













――屋上――








「…きれー……」




思わず、独りでそう呟いてしまったほど綺麗。壮大。




そこにあった、ベンチに座る。




そしてただひたすら、夜空を見上げる。










「綺麗だね」




「んー」




ん?






思わず相槌打ったけど…


どちら様!?






後ろから声がしたから、仰け反ってみると





ぎゃっ!!!!!





「ゆ、幸村く…じゃない、精市!!」



「やあ。…ふふっ、びっくりすると呼び方もとに戻っちゃうんだね」




笑っている精市。



…仰け反らなきゃよかった。


終わった…私、終わった。


ここは女として、
くるっと振り返ってかわゆい声で
「あ、精市こんばんは(はーと)」
って言うべきだった…






「…精市も、星観に来たの??」



精神的ショックをなんとか表に出さないように、そう聞いた。



すると、精市は少し目を伏せて。







「…夕食のとき、夢が夜空観てたから…もしかしたらきてるかなと思ってね」






どきん、




と胸が高鳴った。






それってどういう意味?



なんて、怖くて聞けない。






「…隣、座るよ?」




頷くと、精市が私のすぐ隣に座る。


途端に伝わってくる人の熱。



近い。




触れてしまいそう。


ううん、少しでも動いたら、触れてしまう。




触れてもいい、





そんな疚しいことを思ったなんてことも、絶対に言えない。







沈黙が流れる。

心音が聞こえてしまいそう。





けどこの沈黙は嫌じゃなくて。
何故か心地良いの。










夜空に輝く星達をみながら、






ずっとこの距離でいたい。





そう思った。
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