Spera
□01 arousal
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グラインド王国にある小さな村、エーヌに一人の少女が暮らしてた。
名前をヴェンラットといい、男のような名前のせいなのか彼女自身も男のように振る舞う。
彼女はこの村では時に狩人、時に畑仕事を手伝いながら暮らしていた。
今日も居候させてもらっているバランの畑仕事を手伝っていたとこだ。
「おーい! ヴェン。そろそろ休憩にするぞ!」
「へーい!」
男に負けないくらいに力強い彼女は大きなかごいっぱいにとれたてのトウモロコシを持っていった。
この畑の持ち主であるバランは村が一望できる木の下で昼食の準備をしていた。
彼女にとってバランは育ての親と言ってもいいだろう。
幼い頃ヴェンラットを森で拾い、17になった今まで育ててくれた。
ヴェンラットはとれたトウモロコシをキレイに並べている。
「なぁ、ヴェン。お前もいい年なんだ。
そろそろ嫁入りしてもいいんじゃないか?」
「はぁ? 俺みたいなヤツ誰が嫁にもらうんだよ。」
「ガハハ! 言われてみればそうだな。
逆にもらうほうだな、お前は」
バランは大きな声で笑った。
ヴェンラットに握り飯を投げるともう片方の手に持っていた握り飯を食べる。
彼女だってわかっていた。
いつまでもバランの世話になるわけにはいかないと。
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