春うらら 番外編
□立海テニス部員A君の話
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立海テニス部員A君の話。
「あ」
また仁王先輩ニヤけてる。後ろで柳生先輩が般若の顔で怒ってるのによくニヤニヤ出来るなぁ。
素振りを止めてよそ見をしてると、赤也が声をかけてきた。
「何見てんの?」
「仁王先輩がさぁ…」
「え、なに、お前まさかそっちの趣味が」
「ちげぇ!俺は女の子が大好きだ!」
赤也にあらぬ誤解をされる前に大声で否定すると、真田先輩がすごい表情で睨んできたので、慌てて素振りに戻る。やべぇ、怖い。
「赤也のせいで睨まれたろ」
「お前が仁王先輩なんか見てるからだし」
ブンブンとラケットを振りながら小声で言い合う。なんでよそ見しただけでホモ疑惑。やめろ。
「柳生先輩に怒られながらニヤついてる仁王先輩見たら、そりゃ手も止まるだろうが」
「仁王先輩は今、春真っ盛りだから常にニヤニヤしてんの」
「はぁ?なんだそれ」
「彼女出来たんだってさ」
「え、それだけで?」
今まで彼女なんて掃いて捨てるほどいそうなもんだけど。ていうか常にニヤニヤはキモくね?大丈夫か?
「なんかずっと片思いしてた人と付き合ったとかなんとかって幸村部長が言ってた」
「仁王先輩が片思ぃぃ?」
意外だ。すげぇ意外。仁王先輩は片思いなんてしないと思ってた。やっぱり読めないなあの人。さすがペテン師。
「あー、それにしても彼女かぁ。……俺も欲しい…」
「言うな赤也。俺もだ」
エンド!
付き合った翌日の部活中のお話。
ニヤニヤしまくりでさぞ他の部員は仁王がキモかったに違いない。